ニュース

茶道部卒業茶会

校長
  • 茶道部卒業茶会
  • 茶道部卒業茶会
  • 茶道部卒業茶会
  • 茶道部卒業茶会

3月13日(日)、本校茶道部の卒業生を送る「春の茶会」にお招きいただいた。

今回は、学校法人奈良学園セミナーハウスの志賀直哉旧居(奈良市高畑町)の茶室をお借りしての茶会である。風情を味わうために、春日大社の駐車場に車を止め、「ささやきの小径」と呼ばれる下の禰宜通りを抜けて現地へ向かった。到着した時には、茶道部員たちが、その閑静で趣のある茶室でお点前ができることに心華やいだ感じで廊下を忙しく行き来していた。

この志賀直哉旧居は、直哉自身が設計の筆をとった邸宅で、彼の好みの数寄屋造りを基調にしながらも、モダンな広い洋風のサンルームと娯楽室を備える、当時流行の白樺派の面影を伝える建築であり、この家で彼は『暗夜行路』の後編を完成させたという。

さて、茶会である。今年の卒業生はわずかに1名。茶席に一人は寂しいので、その席に私や旧顧問、さらに卒業生のご両親や指導いただいている先生方も加わって最初のお茶をいただくことになった。一人でこの学年をよく守ってくれたと思うし、その先輩が大勢の後輩たちにもてなされて卒業していくのもなかなか良いものだと感じながら席に着いた。私自身はきちんとしたお茶の心得もなく、不作法なお茶のいただき方だったとは思うが、先輩を送ることに喜びと寂しさを感じながら一生懸命に点ててくれたお茶やお菓子をおいしくいただいた。

控室に戻った卒業生のところに、後輩たちが挨拶にやってくる。着物姿の先輩は落ち着いた笑顔で彼女たちに語りかける。その笑顔ゆえに寂しさを感じるのか、後輩たちは神妙かつ泣きべそ顔である。こうしてクラブ活動が受け継がれていく様子を見て、「よかったなあ、ご苦労さん」と私もしみじみとした気持ちになった。

もちろん、こうした活動を維持するためには顧問の先生方や指導してくださった先生方の支えがあればこそである。部員の皆さん、そうした感謝を忘れないようにしてください。結構なお点前、ありがとうございました。