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【古川】高等学校卒業証書授与式式辞から

校長
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3月3日(火)、本校第4回となる高校卒業証書授与式を開催した。式辞では、1~3期生を森から海へと流れ出た水にたとえた後に、以下のようなことを述べた。

「この登美ヶ丘で出来た水の流れが海へと達した時、決して水は水としてただ海をさまよい流れるのではなく、『海としての役割』を担い、それを果たしていくという責任があると思います。先ほどの『海の役割』を、君たちの今後の行動にたとえるならば、人が生きて行くために必要な酸素や食料を提供するために生きてほしいと思います。自分だけが息ができればいい、腹を満たせればいいと考えるのではなく、人のために何ができるかを考える人になってほしいと思います。また、海流が気温を平均化させるのならば、人が寂しい時や苦しい時に温かな声をかけ、笑顔を見せられる存在でいてほしい、人が悪事を働こうとするならば、"悪いことは悪い"と指摘し、それを改めさせる人になってほしい、さらには汚れに敏感な人であってほしいと思います。
貧困という言葉を最近特によく耳にします。昨年発表された『国民生活基礎白書』では18歳未満の子どもの貧困率が過去最悪になったということです。また、今話題のフランスの経済学者は、持てる者はより豊かになり、持たざる者はより貧しくなると今後の社会を語っています。他人の幸福を思う心や、他人のために尽くすことができる精神を持ち、そしておおらかにたゆたう存在としての、海のような人になってほしいと思います。貧困と呼ばれる層に入らないために努力することは決して悪いことではなく、当然のことではありますが、自身の幸福の追求にとどまらず、それを超えた地球を包む海のような存在として生きて行ってほしいと願います。」

式後の「謝恩会」では、学年の教員を泣かせるほどに皆で感謝の言葉を贈ってくれた。
名残を惜しんで遅くまで学校に残っていた生徒たちが帰る頃、卒業記念品としていただいた旗掲揚ポールが夕闇の中で彼ら帰宅を見送っていた。私が言うまでもなく、人のためを思う人間に育ってくれていたようである。