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◇2019-11-14 (木)

奈良学園公開文化講座第36回「水と氷の科学―オンザロックと寒剤」を開催

  • 奈良学園公開文化講座第36回「水と氷の科学―オンザロックと寒剤」を開催

11月11日(月)、学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において奈良学園公開文化講座を開催しました。

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講師としてお越しいただいたのは、奈良学園大学名誉教授・奈良女子大学名誉教授の木村優先生です。木村先生にはこれまでの奈良学園公開文化講座で4回にわたり、太平洋戦争前後の日本や対中関係について講義をしていただきましたが、今回は初めてご専門である水と氷についてうかがいました。

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講義は「寒剤」の働きを実験で確かめるところからスタートしました。寒剤とは、混ぜ合わせることで、もとの温度より低い温度を生み出す物質の組み合わせのことです。
まずはグラス(1)(2)に水、グラス(3)に度数96%のウォッカを注ぎ、温度を計りました。(1)(2)が14℃、(3)は15℃でした。次に水が入ったグラス(1)にウォッカを注ぎ足し、発熱反応が起きることを確かめたところ、温度は21℃まで上がりました。
いよいよ寒剤の比較実験です。水だけが入ったグラス(2)と、ウォッカだけが入ったグラス(3)に、それぞれ氷を入れて5分間待ちました。すると、グラス(2)は5℃。オンザロックになったグラス(3)はマイナス5℃という結果になりました。水と氷はもともと同じ物質であるのに、ウォッカに水を入れると発熱し、氷を入れると反対に寒剤として働くということが確かめられました。大変不思議な現象です。

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木村先生は「科学者は実験をして予想外の結果になると喜びます。常識と反対のことが起きる時、そこには何か理由があるからです。研究は新しさがなければ論文にならず、私の生活はそれを見つけることがすべてです」とお話をされました。
このような働きについてはまだ十分に解明されていません。木村先生は自宅で続けている研究からわかってきた冷却熱量や冷却効率について、スライドを交えながらお話してくださいました。

水という物質はたいへん身近ですが、同時に特殊な性質を持った興味深い物質でもあります。その特殊さがわかる例として、天候との関わりや樹氷などに見られる自然の過冷却水、海底のメタンハイドレート、水分子の空孔(すき間)があるために起きる現象など、数多くの現象を解説してくださいました。さらにガス麻酔や低温麻酔と水、生物の老化現象と水など、話題は多岐にわたりました。

質疑応答では「紅葉も水に関係がありますか?」という質問があり、「はっきりとは言えないが紅葉は生物の休眠と捉えることができ、葉の水分量が減ることと関連しているのではないか」とのお答えでした。

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庭にあるモミジの葉も、少しずつ赤く色づきはじめています。これから深まっていく冬を予感させます。

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