◇2025-08-21 (木)
《奈良学園セミナーハウス 志賀直哉旧居》では、奈良学園公開文化講座と白樺サロンの会の2つの公開講座を開催しております。今年度の各講座の概要・日程は以下の通りになります。
※各講座につきまして、参加をご希望の方は、予め奈良学園セミナーハウス(TEL 0742-26-6490)までお問い合わせください。
参加費は各回500円(入館料込)となります。
■学校法人奈良学園【奈良学園公開文化講座】(2025年後期 NEW)
第81回《古梅園の墨づくり》
2025年10月4日(土)13:30~15:30 講師 竹住享 (株)古梅園 取締役営業部長
大陸から伝えられた墨は、我が国の文化の発展と共にその需要がますます高まり、日本国内でも大量に生産するようになりました。畿内を中心に西日本の主要な地域で墨の生産が行われていましたが、室町末期の頃墨づくりの中心はこの奈良となり、江戸時代からこれまで多くの墨匠が活躍し、たくさんの墨がつくられてきました。室町末期に創業した古梅園も約450年の間、昔と変わらない製法で墨づくりを続け今に至っております。今回はそんな弊園の墨づくりのご紹介をしながら、特徴ある墨を少し別の観点から見ながら解説を出来ればと考えております。
第82回《グローバル時代とはなんだろう?》
2025年10月23日(木)13:30~15:30 講師オチャンテ・カルロス 奈良学園大学人間教育学部准教授
南米ペルーから日本に来て、今年で30年になります。これまで文化的・言語的なさまざまな体験を通して、日本で不自由のない生活を送ってきました。これらの体験をもとに、異国で生活することや共生を目指すことの意義について語ります。現在は奈良学園大学にて、外国語理解や異文化コミュニケーションを担当しています。その立場から、さまざまな視点で現代のグローバル社会についてお話しします。また、母国の文化紹介や民族楽器の演奏も行います。
第83回《江戸時代の和算文化》
2025年11月12日(水)13:30~15:30 講師 田中紀子 奈良学園大学人間教育学部准教授
江戸時代の日本では、「塵劫記」を始めとして武士も庶民も数学を学び、各地で「流派」が生まれ、神社仏閣に算額が奉納されました。江戸時代の人々はどうやって和算を学んでいたのでしょうか。また数式はどのように書いたのでしょうか。「至誠賛化流」の本から和算の学び方を、また関孝和から始まった関流や、関西の流派である宅間流の数式の書き方について紹介します。
第84回《「源氏物語」を読む――帚木巻(2)》
2025年11月26日(水)13:30~15:30 講師 鍵本有理 奈良学園大学人間教育学部准教授
日本の古典文学代表作とされる『源氏物語』。前期に引き続き、「帚木巻」の後半部分から、名場面を取り上げます。男性貴族たちの女性談議(「雨夜の品定め」といわれます)を聞いた光源氏は、中流の女性に興味を持つようになりました。その翌日、紀伊の守の邸を訪れることになり、空蝉という女性(伊予介の妻)とのはかない逢瀬のひと時を過ごします。「方違え」など、当時の貴族の習慣・生活についても学びながら、原文で古典を楽しみましょう。
第85回《伝え継ぐ奈良の家庭料理・郷土料理~行事食を中心に~》
2025年12月9日(火)13:30~15:30 講師 島村知歩 奈良佐保短期大学教授
日本には気候風土に合わせた食文化が根付いています。しかし、近年の食生活は平準化してきて地域性が薄れ、作られなくなった料理も多くあると想像します。今回は奈良県9地域で実施させていただいた聞き書きの際に地域の方が後世に残したいと出てきた料理について行事食を中心にご紹介します。またご参加の皆様の地域や家庭のお料理も出していただきながら、食の奥深さ、楽しさを共有できる時間になればと考えています。
■白樺サロンの会【志賀直哉旧居講座 2025年度】
2025年度、白樺サロンの会、志賀直哉旧居講座 各第三月曜、14時〜15時30分
古都奈良、文学と美術と
古都奈良は今なおわれわれを美的世界へと誘います。この講座では、古都奈良が今日に伝えた遺産と、今にみる文学作品や美術について、その魅力を語ります。古都の美と、近代の文学とを、ともに鑑賞しながら、志賀旧居講座の午後を心ゆくまで味わって頂きたく思います。
5月19日(月)14時〜15時30分 古都奈良と日本文化
呉谷充利 建築史家 相愛大学名誉教授
奈良と日本文化について考えてみます。奈良は云うまでもなく仏教美術の宝庫たる古都です。が、仏教文化はインドにはじまった宗教で日本には無かった精神文化です。この外来の文化を受け入れ、みごとな仏像群を生んだ古都奈良に新たな邦土の日本文化のかたちを見てみたいと思います。偏狭なナショナリズムでもなく、外国一辺倒でもない、日本文化の第三の有りようと言えるこの文化の一形式こそ、日本文化に連綿として流れた精神の意味を語っています。
6月16日(月)14時〜15時30分 芥川龍之介「竜」―猿沢の池から昇る竜―
吉川仁子 奈良女子大学准教授
芥川龍之介の「竜」を読みます。芥川は、古典を題材とし、そこに近代的な心理や解釈を加えて多くの作品を作り上げました。「竜」は「王朝物」と呼ばれるものの中の一で、『宇治拾遺物語』から題材を得ています。この作品は、芥川本人がマンネリの自覚の発言をしていることもあり、あまり高く評価されていませんが、その評価を検証するとともに、芥川が素材となる古典作品をどのように扱ったかを確認し、奈良を舞台とした作品を楽しんでみたいと思います。あわせて、志賀直哉が芥川をどう見ていたかについても目を向けてみましょう。
7月21日(月、祭日)14時〜15時30分 『悲しみよこんにちは』を読むーーフランソワーズ・サガンとその時代
東浦弘樹 劇作家 関西学院大学教授
フランソワーズ・サガン(1935-2004)が18歳の時に発表した処女作『悲しみよこんにちは』(1954)はフランスのみならず日本でも一大ブームを巻き起こし、作者サガンを一躍スターダムに押し上げました。17歳の早熟な少女セシルのひと夏の経験を描いたこの小説は1957年にオットー・プレミンジャー監督、ジーン・セバーグ主演で映画化され、当時の若い女性たちはスキャンダラスであると同時に冷徹なまでに自己分析に優れたセシルの物語に熱中しました。本講座では『悲しみよこんにちは』のストーリーやポイントをわかりやすく説明し、この小説の何が当時の日本人を熱中させたのか、『悲しみよこんにちは』は今日でも読むに耐える作品なのかを考えてみたいと思います。
9月15日(月)14時〜15時30分 泉鏡花『外科室』を読む
西尾元伸 帝塚山大学教授
『外科室』(明治28)は、同時代評によって「観念小説」と呼ばれることになった、泉鏡花の初期を代表する作品です。貴船伯爵夫人が「譫言(うはごと)」を言うからという理由で「痲酔剤(ねむりぐすり)」を拒否し、麻酔なしでの外科手術に臨むという筋立ては、作品の特質でもあり、不自然さでもあると受け止められてきました。しかし近年の研究では、そのような作品の構想は必ずしも鏡花の独創によるものと言い切れないことが指摘されています。本講座では、『外科室』における鏡花の創作手法に注目しながら作品を読み、その魅力に迫ってみたいと思います。
10月20日(月)14時〜15時30分 奈良のモダン
松川綾子 奈良県立美術館 学芸員
近代奈良の歴史的文化的状況を作品や資料をもとに紹介し、文士や芸術家のコミュニティの有り様を明らかにすることで、近代奈良の文化風土を探求する。
11月17日(月)14時〜15時30分 戦後80年を迎えて 奈良の美術と戦争
平瀬礼太 美術史家 愛知県美術館・館長
戦争中の美術は空白期であったと言われることも多いのですが、他地域と同様に奈良においても美術活動は続けられていました。また、空襲などを避けるために疎開した美術品もありました。戦後80年を機に、戦争の時代の記憶を風化させないために、あらためて戦中という非常時の美術活動を見つめ直したいと思います。
・咳エチケットをお守りいただきますようご協力お願いします。
・検温で発熱がある方はご来館をご遠慮いただきます。
・ご来館時の手指の消毒や場内での手洗い励行などにご協力お願いいたします。
※新型コロナウイルス等感染の拡大状況に伴い、日程変更中止等の判断をさせていただく可能性がございます。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
◆ 公開文化講座2025年度後期スケジュール詳細はPDFをご参照ください。