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◇2026-04-20 (月)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《古(いにしえ)と今を考える》を開催

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 奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座 白樺サロンの会「古(いにしえ)と今を考える」が開催されました。講師は、建築史家で相愛大学名誉教授の呉谷充利先生です。


 まず講義の冒頭、呉谷先生は現代社会が文明の発展によって利便性を享受する一方で、抱え込んでいる多くのマイナス面について言及されました。


 かつて西洋美術に深く傾倒していた志賀直哉が、次第に法隆寺の救世観音など、日本の古(いにしえ)の美に惹かれていった背景には、単なる好みの変化ではない精神的な探究があったといいます。また、志賀が内村鑑三の影響からキリスト教に触れながらも、ある種の違和感を抱いていた点についても詳しく解説されました。


 特に人間の「性」の問題において、自己を偽るようなキリスト教的道徳観には賛同せず、むしろ良心の呵責に苛まれながらも、葛藤の中で生き抜く姿こそが人間の真実であると考えたようです。これは、罪を懺悔することで解決を図るという西洋的な発想ではなく、東洋の古くからの概念である「善と悪は分かちがたく繋がっている」という死生観に基づいています。こうした考え方を、志賀の代表作『暗夜行路』の中にも見出すことができるようです。


 さらに、『古事記』や神話に見られる古代と近世の考え方の差異、契沖や本居宣長が説いた「古(いにしえ)に返れ」という主張についても紐解かれました。なかでも、文明社会における人間の在り方を問い直す上で「もののあわれ」という概念は非常に重要であり、物事の深淵に触れ、心動かされる感性こそが人間の根源的な姿であるという考え方についてお話しいただきました。


 講義では、19世紀フランスのゴシック建築から、万葉集と古今和歌集における詩歌の比較、さらには「洗練」と「内実」の違いに至るまで、時代と国境を越えた「生の実相」について教えていただきました。


 旧居の庭には美しい椿の花が咲いています。呉谷先生のお話しを経て改めてその姿を眺めると、万葉の時代には「聖なる自然風景の一部」として愛でられた椿が、時代が下るにつれ「人間的・美的、あるいは死の象徴」としての意味を深めていった歴史の変遷が伝わってくるようでした。

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