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◇2025-12-10 (水)

奈良学園公開文化講座 第85回「伝え継ぐ奈良の家庭料理・郷土料理―行事食を中心に」

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  • 奈良学園公開文化講座 第85回「伝え継ぐ奈良の家庭料理・郷土料理―行事食を中心に」

2025年12月9日、志賀直哉旧居にて奈良佐保短期大学の島村知歩先生による公開講座が開催されました。
テーマは「伝え継ぐ奈良の家庭料理・郷土料理」です。

島村先生のご出身は熊本で、外からみた奈良の食文化は、この館の元主の雑感とは裏腹に、とても豊かに映るようです。
奈良といえば柿の葉寿司などが挙がりますが、講座ではそうした定番の料理にとどまらず、
レシピ本にも載っていない名もなき家庭料理まで幅広く紹介されました。島村先生の実地調査にもとづき、
さまざまな奈良の郷土料理が取り上げられたのが印象的でした。

社会が均質化していく現代、日本各地の食文化もその例外ではありません。日本の食卓から季節感や地域性が失われつつあります。
食材、調理器具、調理法などが途絶えてしまう前に、そのレシピを伝え継いでいくことは、とても大切なことです。

さて、後半のトピックは「お雑煮」となり、話は参加者を交えて興味深い展開になりました。
周知の通り、関西のお雑煮は白味噌が一般的ですが、大和郡山の一部では「お澄まし」の家庭もあるそうです。
奈良で「お澄まし」とはかなり意外ですが、その背景には近世の歴史が関係してそうです。
江戸時代、甲斐から移ってきた柳沢家やその家臣たちの食習慣が、郡山の一部に受け継がれてきた――そう考えると腑に落ちますね。



......ここからは筆者の雑感ですが、「食」というテーマは学問的にもかなり魅力あるものだと、改めて痛感しました。
郷土料理の調査は、そのまま民俗学の一分野と考えることもできます。
歴史的に、私たちが何をどのように食べてきたのかについては、書物だけでは知りえません。
作物の育て方、保存方法、繊細な味付けといった細部に、生きた知識が折り重なっています。

ここに、伝統的な「よみ・かき・そろばん」を超えた知識体系のヒントがあるように思われます。
また今後、生成AIやロボット工学がどう進化しても、繊細な食文化を伝え継がなければ、その復元も困難でしょう。
というのは、「失われた」ことにすら気づいていない可能性があるからです。

学校法人奈良学園 経営情報部 tana

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