




◇2025-12-01 (月)
2025年11月26日、志賀直哉旧居にて奈良学園大学の鍵本有理准教授による公開講座が開催されました。
テーマは第79回の続きで源氏物語の「帚木」の後半です。
ここでのハイライトは「雨夜の品定め」と「方違え」です。
帚木の巻は源氏物語の冒頭に近く、光源氏はまだ17歳。
その後、主人公はさまざまな身分の女性と関係を持っていくことになりますが、
その奔放な女性遍歴を方向づけるきっかけのひとつが「雨夜の品定め」とされています。
年上の悪友たちによれば、イイオンナの条件とは、身分や教養が高すぎてもダメらしい。
その翌日、「方違え」(凶とされる方角を避ける必要がある)という習わしから
光源氏は帰宅せずに紀伊守邸に泊まることに。
彼はさっそく悪友談義を実践するかのように、この家の主の人妻である空蝉と関係を持ちます。
完全無欠なはずの光源氏ですが、最終的に空蝉にフラれてしまいます。
...ここからは筆者の浅学非才に基づく追記ではありますが
武田宗俊・大野晋によると、帚木は源氏物語(a系)が広く流布した後に付加された「b系」に属しており、
a系の完璧すぎる光源氏に人間味を付与する役割を担っている、と解されています。
いずれにしても、源氏物語がきわめて長大な物語であることに変わりはありません。
日本人なら誰もがその存在を知っている源氏物語。しかしその全貌を熟知している方は決して多くありません。
2026年度の公開講座も鍵本先生の源氏物語が予定されています。ぜひご参加ください!
学校法人 奈良学園 経営情報部 tana