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◇2025-04-01 (火)

3月の志賀直哉旧居

  • 3月の志賀直哉旧居
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 厳しい冬の季節が過ぎ、日向を歩くと初夏を思わせるほどの暖かさを感じることができる季節となりました。


 旧居の裏庭を明るく照らす陽光が、ガラス戸越しに旧居のサンルームを超えてセミナールームも優しい光で満たしているようです。3月の中旬の頃には賑やかなメジロが集っていた梅の花も、すっかり花びらが散り、旧居の庭も春の装いを始めているようです。


 セミナールームに入り裏庭側から眺めると、窓際の大原館長が手彫りした白衣観音、六地蔵、聖観音の像が、光を放っているようにも感じられます。これら三体の仏像は、あの世とこの世の境界で魔が侵入するのを防ぎ、場を浄化すると言われています。


 旧居の裏庭と庭池をつなぐ脇の通路を歩いていると足元の苔の上に落ちた真っ赤な椿の花と目が合います。椿はこの季節に桜と咲き競う春の花ですが、首からボトリと落ちる様が武士の世では不吉とされていました。一方で古来より、椿は三体の仏像と同じように、あの世とこの世の間に咲き、邪を祓い場を浄化すると言われ、神社や寺、家の境によく植えられています。


 また古事記や日本書紀にも登場し、美しさと樹齢の長いことから未来を象徴する縁起の良い花と伝えられているそうです。さらに、同じ武士の世界でも、花びらを散らさずに花ごと落ちる様子が、未練を残さずスパッと身を引く潔さを連想させるため、「潔い」や「武士の精神」と結びつけられることがあります。特に、武士道の精神と関連づけられ、「武士の花」とも称され、茶道の席などで生けられることも多いようです。


 旧居の池を望むあたりにオガタマ(招霊)の木が花をつけようとしています。オガタマは場を清める「霊を招く木」として、古くから大切にされてきました。天照大神を天の岩戸から誘い出した天宇受売命(あめのうずめのみこと)が手にして踊ったのがオガタマの木の枝で、神様を招くという意味があるそうです。


 まもなく、本格的な春の訪れと共に、旧居の庭も春一色に染まることでしょう。

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