◇2025-03-20 (木)
3月20日(木)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第77回「ストレスと健康」を開催しました。講師は奈良学園大学大学院看護学研究科長・教授の上野栄一先生です。
身体と心はつながっており、人間関係などの外部からの刺激であるストレッサーが様々な病気の要因となります。ストレスや性格因子が関係して身体症状がでてくる身体疾患を心身症といい、高血圧・糖尿病・消化性潰瘍・喘息などがあります。ストレスが原因の病気の例としては、将来について不安感がとても強く、それが原因で小児期に患っていた気管支喘息の発作が再発した患者ついて解説していただきました。
性格因子については、アメリカで発見されたA型行動パターン(タイプA)というものがあり、虚血性心疾患の患者に多くみられやすい行動特性だそうです。特徴として、「せっかちで時間に追われており、仕事に精力的に打ち込む、イライラしたり、怒り、敵意を持ちやすい」などがあげられるとのことです。参加者の皆さんには、ご自身の性格や行動パターンが、タイプAの傾向があるかどうかの判別表に記入していただきました。その他、ストレスからくる精神的な疾患として、アルコール依存症、統合失調症、うつ病、不安障害についても説明していただき、自律訓練法や筋弛緩法などの治療法が効果的とのことです。
ストレスの原因としてはさまざまなものがありますが、それに対処する能力が大切になってきます。対処法として、「笑い」は「免疫のバランス」を正常に戻す力があり、「音楽」を聴くことも有効です。講座では、モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」を、皆さんに鑑賞していただきました。普段からゆとりのある生活を心がけることも大切なので、どうすればゆとりのある生活を実現できるかについて、スケジュール管理の方法や仕事の進め方などについても、お話していただきました。
また、上野先生が取り組まれた、認知症高齢者への「ちんどんセラピー」についても、ビデオを使って解説していただきました。ちんどん屋さんの演奏を楽しむ高齢者の皆さんは、自発的に手をたたいて、自然と笑顔になっていっておられました。セラピー前後の採血による分析では、「心身の活性とストレス軽減効果が期待できる」との結果が得られたそうです。
今回、講座でご紹介しました、ストレスに対処する方法を活用していただき、健康な生活を送るための一助となれば幸いです。