学校法人奈良学園

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◇2024-08-26 (月)

8月の志賀直哉旧居

  • 8月の志賀直哉旧居
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 記録更新続きの猛暑日も8月後半に入り、旧居の庭では所々に秋へと時が移りゆく気配が見せ始めています。


 旧居の池では、元気に泳いでいたモリアオガエルのオタマジャクシたちも、すっかり蛙に変身し、しばらくは賑やかに合唱をしていましたが、晩夏となり、どこへやら行ってしまったようです。モリアオガエルは初秋に近づくと早々と冬眠の準備を始めるそうです。旧居の池で生まれた彼らも、水辺を離れ、旧居から近くの"ささやきの小径"などを辿って森の中や山間部へ移動するそうです。また旧居の池には、シオカラトンボが池の水面を飛びながら、お尻で水を叩くようにして産卵をする様子が伺えました。


 旧居の庭の奥には、8月の初旬までは太陽に顔を向け、立派な花を咲かせていた大輪のヒマワリ(向日葵)が、びっしりと螺旋を描いて並ぶ焦茶色の種の塊となっていました。季節の移ろいに向けての命の力強さを感じます。


 旧居の庭に咲くサルスベリ(百日紅)には、来訪された方々も目を惹かれるようです。夏から秋にかけて、長く楽しませてくれる花ということと関係あるのでしょうか。サルスベリは「忍耐」や「長寿」を花言葉に持っています。中国の文学作品においても、サルスベリの花が長く咲き続けることが、人生の永続的な美や希望を象徴するものとして描かれています。また、日本文学においてもサルスベリはしばしば登場します。例えば夏目漱石の小説『草枕』では、サルスベリの紅色の花を通じて、夏の終わりの風情や旅人の心情を表現しています。尾崎紅葉の小説『金色夜叉』にも、主人公たちの心の変化や恋愛の葛藤を象徴するものとして、サルスベリの花が登場しています。俳人の与謝蕪村は「百日紅 ややちりがての 小野寺」と詠んでいます。


 艶やかな色を楽しませてくれるサルスベリとは真逆に、旧居の庭ではヤブラン(藪蘭)が小さな淡い紫色の花を咲かせています。
密かに咲くようなか弱い花を愛でるのも、旧居の庭散策の楽しみです。

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