◇2024-07-15 (月)
かつては真夏に32度を超えると猛烈日として暑く感じていたものです。ところが近年では普通に35度の猛暑日が続き、地域によっては38度という体温よりも暑いというニュースも聞かれます。8月までの時点で、この夏の平均気温としては1898年の気象庁の統計開始以降、この125年間で最高となったそうです(NHKニュースより)。
この猛暑の日照りの中で、旧居の池を覗いてみると、モリアオガエルのオタマジャクシたちが何匹も元気に泳いでいました。やがて足や手が生え、旧居の庭で歌声を聴かせてくれる日も間近です。
志賀直哉が子供の頃、自宅の庭で、どのような時を過ごしていたのでしょう。その様子は、『志賀直哉全書』第8巻「幼少時代」に記載されています。自然の魅力に触れていた志賀直哉は、子ども時代には、庭遊びが好きで昆虫採集に没頭していた時期があったそうです。特に蝶を捕まえるのが得意で、捕まえた蝶を観察し、その美しさに感動していました。志賀直哉は、庭でよく遊び、昆虫などを含めた様々な植物や花を通じて自然の神秘に触れていたようです。
また、志賀直哉は兄弟や友人と庭で一緒に遊ぶことが多く、一緒に木登りをしたり、探偵ごっこをしていたという思い出が残されています。
志賀直哉はその頃、読書も好きで、本から得たものが、彼の小説にも何らかの影響を与えていると考えられます。例えば『西遊記』は志賀直哉が子どもの頃に愛読していたと言われています。おそらく、彼の冒険心や想像力を大いに刺激し、後の創作活動に大きな影響を与えたのではないでしょうか。また『水滸伝』やアラビアンナイトの『一千一夜物語』、コナンドイルの『シャーロック・ホームズ』なども好んで読んでいたようです。また『日本昔話』は「私の文化的なルーツを強化した」と、自ら全書の中に記しています。
旧居の庭では、オニユリ(鬼百合)が満開になった後は、暑い夏を超えて、早々と植物たちの秋の準備が始まります。