学校法人奈良学園

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◇2024-03-27 (水)

3月の志賀直哉旧居

  • 3月の志賀直哉旧居
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 3月に入っても肌寒い季節が続いておりましたが、下旬となり春めいた風が旧居の庭を通り過ぎるのを感じるようになりました。春の訪れを首を長くして待っていたかのように旧居の庭の植物たちは、揃って目覚める準備に入ったようです。

 池を覗き込むと、赤黒くまだ幼い睡蓮の芽が、水面に向かって伸び始めています。サルスベリ(百日紅)やカリン(果林)、カエデ(楓)など、木々の枝に並んだ新葉の芽が、徐々に膨らみ始めうっすらと緑色に代わりつつあります。また、桜の木の花芽も、日々膨らみ始めています。

 一方、足元を見るとバイモユリ(貝母百合)が、ムクロジ(無患子)の木の影に隠れるかのように密かに一輪咲いておりました。このユリは貝が合わさったかのように見えることから「貝母」という名前をつけられたそうです。原産は中国で、我が国へは江戸時代の終わり頃に、咳止め、止血、解熱に効果のある薬用植物として、中国の商人が幕府に献上したのが始まりだと言われています。花の形が編笠に似ていることから別名アミガサユリ(編笠百合)とも呼ばれています。

 暖かくなって、奈良へも多くの観光客が訪れるようになりました。特に奈良公園では、全国から来られた方々だけではなく海外から来られたご家族たちも、楽しそうに鹿と戯れている様子が見受けられます。旧居にも、3月に入ってから外国から来られた観光客も徐々に増え始め、サンルームに置かれた思い出ノートにも、英語だけではなく中国語、韓国語などで書かれたメッセージが残されています。

 海外では『暗夜行路(A Dark Night's Passing)』などの英語版は数カ国で出版されていますが、志賀直哉の知名度は、村上春樹や夏目漱石、川端康成、三島由紀夫と比べると、日本文学に深い関心を持つ人々など以外ではそれほど高くないようです。特に欧米の観光客にとっては、旧居の数寄屋づくりの建物と庭に深い関心を持たれ、訪問されているようです。

 春雨が降り続く不安定な気候が終わり、4月の桜をきっかけに、旧居の庭にもさまざまな花が咲く季節が到来します。

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