◇2023-12-22 (金)
12月22日に冬至を迎えました。
年末を迎え、真冬日の陽光を浴びた旧居の庭では、氷点下に近い寒風に吹かれながら、サザンカ(山茶花)や茶花、ヤマブキ(山吹)、いくつかの菊類などが、小ぢんまりと咲いている他、さして花もなく、静かな色合いの庭風景となっています。
ところが梅の木など木々の枝に近づき観察すると、新芽の元が、散った葉の後から膨らみ始めています。
植物たちは年超えを待たずして、もうすでに来春への準備を整えているのですね。
一年で最も昼の時間が長くなる夏至に比べ、最も夜が長くなる冬至は、生命力を司る太陽の力が最も弱くなる日でもあります。
また、それは植物に限らず生き物のエネルギーも弱体化し、古来より冬至は死に最も近い日であると恐れられてきました。
一方、冬至の次の日の日の出の瞬間は、半年後の夏至に向けて、あらゆるものの蘇りを象徴する瞬間であるとも解釈されています。
例えば冬至明けの次の日、伊勢神宮入口の宇治橋手前にある大鳥居の真ん中から昇る朝日を拝むことで、安寧な一年を願えると言われています。
他の地域においても、磐座(いわくら)信仰などで類似の習慣が伝えられています。
この習慣は、例えば古代エジプトやマヤの巨石建造物で、冬至の日だけに中まで深く陽光が差し込む仕組みがあり、そこでさまざまな神事や祈祷が行われていたそうです。
また、古代ゲルマン人たちは、冬至の日に太陽の復活を祈って祝祭を行う習慣もあるようです。
12月25日のクリスマスは、もはや宗教の枠を超えた年中行事のひとつとして盛り上がっていますが、冬至から先に蘇る太陽を祝う古来から綿々と行われてきた冬祭り(winter festival)の日に合わせて始まったと言われています。
さらに過去に目を向けると、メソポタミア文明やバビロニア、ペルシアでは、冬至が一年の始まりとされ、冬至を無事乗り切ったことを感謝し、次の一年を豊かな年であることを農耕の神に祈る習慣があったそうです。
こうした歴史を見ると、来る元旦の初日の出や初詣の意味合いの深さを感じます。
旧居の庭には、今年もマンリョウ(万両)や、ナンテン(南天)などの実が、真っ赤に染まっています。
特に中庭のモチノキ(黐の木)は、まるで小さなリンゴのような赤い実をたわわに実らせています。