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◇2023-10-30 (月)

10月の志賀直哉旧居

  • 10月の志賀直哉旧居

 「最近は本を読む人がめっきり少なくなった」という声がよく聞かれます。
さまざまな団体の調査に基づくと、書籍としての出版物の売り上げにだけに絞れば、概ね1990年半ばをピークに徐々に減少してきているようです。
特に文学・小説については、オークションで取引される書籍で言えば、ここ5年間で20%以上の減少が見られます。
ただ、電子書籍やインターネットサイト閲覧なども普及し、何を持って読書と言うのかは定義が曖昧にはなってきています。
書籍にしても小説という分野で言えば、「何の媒体で小説を読むか」の問いに、スマートフォンでライトノベルを読んでいるという人が、特に若い世代を中心に多いという調査結果が出版各社から出されています。
また2000年代に入ってすぐに書籍の売り上げの低落が止まり上昇傾向となりましたが、それは映画の原作などメガヒット商品の登場に由来しているようです。

 さてその中で、志賀直哉の作品など純文学と言われるジャンルについてはどうでしょう。
個別のデータはありませんが、確かに書店などを見ると、新々作家のコーナーに比べ、ずいぶんと隅に追いやられている感は否めません。
先日、公開講座でお話いただいた山田裕(志賀直哉のお孫様)氏もお話いただきましたが、志賀直哉をはじめ純文学の作家をキャラクター化して、アニメと連動させるなど、若い人に親しんでもらう試みもなされているようです。


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 ところで10月から11月にかけて紅葉も色づき始める秋の季節が深まりつつあります。
夏に比べ秋は読書に最適だという意味での「読書の秋」という言葉の由来についてです。
唐時代の詩人、韓愈(かんゆ)の詩の中に「秋は過しやすい季節だから、夜には明かりをともして読書をするのに最適だ」という一節があります。
夏目漱石が小説『三四郎』(1908年)の中で、その漢詩を引用したことが、「読書の秋」という概念を広めるきっかけであると言われています。
後に日本図書館協会が「図書週間」を制定したことに始まりますが、1933年に「図書館週間」と改称、第2回からは、10月27日から11月9日となったそうです。


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 旧居のサンルーム越しに深まる秋を味わいながら、しばし椅子に座し、文豪が過ごした空気を味わいながらの読書の時間を持たれるのはいかがでしょうか。

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