◇2023-09-18 (月)
毎年9月になると、1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災についてを多くのメディアが取り上げています。
死者・行方不明者は推定10万5,000人。
歴史的な災害として多くの人の記憶に深く刻まれています。
前回の白樺サロンの会において帝塚山大学文学部准教授の西尾元伸先生からご講義いただいた泉鏡花『露宿』を再度読むと、改めて震災の恐ろしさを身にしみて感じます。
近年になって体験したいくつかの震災の記憶も踏まえて、地震に対する備え意識を常に持ち続けることが大切です。
志賀直哉旧居は、1929年(大正4)年に志賀直哉の自邸として建てられた後、奈良学園が買収し、その後2008年(平成20年)から復元修復工事が実施されています。
その際、震度6強程度にも耐えられる耐震工事がなされ、伝統的な数寄屋造りでありながら耐震・防災面でも万全となっているそうです。
旧居の庭には、杉や柿、サルスベリ、楓など、多くの樹木が植えられています。
足元を見ると、長い年月を経て、それらの樹木の根が、相互に折り重なり絡まりながら地面を覆っています。
コンクリートを多用した庭や浅目の根では、むしろ建材を損傷させる場合もあるそうですが、旧居の庭のようにしっかりとした土壌に地植えされた樹木は、根が深く広く伸び、地盤を固定し、耐震性を向上させるそうです。
根は地震の振動エネルギーを吸収し、減少させる役割を果たすそうです。
また笹や竹などの植物の根は、地下茎が広がり張り巡らされ、土壌との一体化による根茎効果で耐震に役立つと言われています。
志賀直哉の自邸だった頃からか植っていたかどうかは不明ですが、広い旧居の庭には、クマザサなどの笹類が群生しており、人と建物への優しさを感じることができます。
若草山を巡って吹く風は、何気か秋の涼しさを感じるようになりました。
まもなく旧居の庭の柿も色づき、楓が赤く萌える季節が訪れようとしています。