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◇2023-09-18 (月)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロン《泉鏡花『露宿』とその周辺》を開催

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロン《泉鏡花『露宿』とその周辺》を開催

 9月18日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会《泉鏡花『露宿』とその周辺》を開催しました。
講師は帝塚山大学文学部 教授の西尾元伸先生です。


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 今年(2023年)は関東大震災から100年、そして泉鏡花生誕150年を記念する年です。
泉鏡花は空想の世界を描く小説家・戯曲家で、ファンタジー作家の走りとも言われましたが、随筆『露宿』(大正12)は、泉鏡花が実際に関東大震災で被災した際の体験を、彼の目を通して記している作品だそうです。
架空の物語に長けた彼の作風とは違った『露宿』を、他の作家が記した当時の状況も参照しながら読み解きました。

 そこには、地震の予兆から始まって、本震の様子や避難の有り様、街の様子、知人とのやり取りなど、詳細な状況が記録されています。
その表現は、新聞記事などの事務的な記事文ではなく、リアルな風景を観察し、泉鏡花自身の心の動きが描かれています。
『露宿』は、まるでその場に居るような追体験感を感じさせてくれます。


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 また、寺田寅彦の随筆『震災日記より』では物理学者に相応しい記述を、芥川龍之介は『大震前後』では、震災において家族の様子がうかがえる記述を紹介していただきました。
菊池寛は『近日所感』で、関東大震災を通し、「我々文芸家に取って、第一の打撃は、文芸と云うことが、生存死亡の境に於いては、骨董書画などと同じやうに、無用の贅沢品であることを、マザマザと知ったことである」と記したそうです。
 その他、萩原朔太郎や内田魯庵は、震災において発生した差別的な流言蜚語の横行について述べている記述を紹介していただきました。
概ね文芸作家の記述からは、関東大震災は自然災害ではありますが、それ以降の人的被害は、人の心が起こした人災であると教えていただきました。
 それは、これ以降の阪神淡路大震災や東日本大震災、されにはここ数年のコロナの蔓延に関しても同じことが言えるとお話いただきました。
 最後に諸葛構文の言葉より「(根拠のない)流言妖語は〜(蜘蛛の糸巻)に見える」と記されています。
 旧居の庭に巣網を張る2匹の蜘蛛は、そんな人間の身勝手さを、どのように感じているのでしょうか。


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