学校法人奈良学園

ニュース & トピックス
ニュース & トピックスニュース & トピックス

ニュース & トピックスニュース & トピックス

◇2023-08-21 (月)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《夏目漱石『夢十夜』を読む---「第一夜」を中心に---》を開催しました

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《夏目漱石『夢十夜』を読む---「第一夜」を中心に---》を開催しました

 8月21日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会「夏目漱石『夢十夜』を読む---「第一夜」を中心に---」を開催しました。
講師は奈良女子大学准教授の吉川仁子先生です。

 志賀直哉が生涯、敬愛し続けた作家、漱石が、明治41年に東京・大阪「朝日新聞」に掲載した『夢十夜』について、お話をしていただきました。
これは、夏目漱石が見た夢を10話の短い物語として発表したものです。
ただ、これが漱石が実際に見た夢なのか、夢という設定で書かれたフィクションなのかは、諸説あり、わからないそうです。
 まず、石原千秋の著書『漱石はどう読まれてきたか』から引用して、「第一夜」から「第十夜」までを順にその概要を紹介していただきました。


20230821_002.jpg


 また、いくつかの話は、小泉八雲がまとめた地方の民話や過去の作家が書いた物語、あるいは詩のモチーフと近しいものもあり、それに影響されたのか、あるいはその記憶が漱石の夢に出現したのかは不明です。

 また『夢十夜』には、多くの作家や評論家によって作品やそこに登場する素材について論考され、その例を紹介していただきました。


20230821_003.jpg


 特に、石原千秋によると、『夢十夜』は、「まさにロマンチズムに溢れた作品なのである」と評しています。

 本日の講座では『夢十夜』の中で、唯一ハッピーエンドだと思われる「第一夜」について、原文を読み解きながら考察しました。
女性が「百年待てば再び会いに来る」と言い残してこの世を去るが、百年経ったと思われる時に百合の花が現れるという筋書きですが、これが本当にハッピーエンドかどうかについて、受講者と一緒に意見を出し合いました。

 実際に女性が百年後に現れたのか、それとも彼が疑ったために百合の花になってしまったのかについては、議論が分かれました。


20230821_004.jpg


 セミナールームにも陽が差し込み、普段は真夏でも風が通る旧居ですが、本日は湿気を含んだ暑い空気の中での講座となりました。

 少しでも涼感をと、窓や扉を全開にし、灯りを消しての講座実施でしたが、隣のサンルームには直射日光が入り込み、見学者の方々も、足を止めずにいる状態でした。
この部屋でまどろうことのあったと言われている志賀直哉は、どのような真夏の夢を見ていたのでしょう。

▲ページトップ

Copyright (C) Naragakuen. All right reserved.