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◇2023-07-17 (月)

7月の志賀直哉旧居

  • 7月の志賀直哉旧居

 サイトで「志賀直哉旧居」を検索すると、よく目につくのが「風通し」という言葉です。


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昨今のような気温35度に迫るほどの猛暑日でも、旧居の玄関から中に入ると、確かに涼しい風が廊下を流れていくのを感じるはずです。
セミナールームで講座を開催する時は、出入り口や窓を開けっぱなしにすると、扇風機でも十分なほどの涼しさが体感できます。
旧居内を巡りながら、注意深く観察してみると、至る所に外の風を積極的に取り入れる工夫がなされています。
玄関から吹き込む風。庭先の門から緑や花の香も微かに混ざり合った風、若草山を望める二階から吹き降りる風。
贅沢なほど風通しと陽光の変化にこだわった旧居は、人の生活に寄り添った数寄屋造りのひとつの完成形であると言っても過言ではないでしょうか。
 また数寄屋造りの家は、茶の湯を行うための茶室を建てる際の建築技術から生まれたもので、美しい自然と調和し、心を落ち着かせる空間を追求しています。
神社仏閣や武士が身分や地位を誇示するために建てられることの多い書院造りの邸宅に比べ、新たな物語を次から次へと生み出していく志賀直哉には、旧居の空間はこの上なく快適だったのではないでしょうか。
また、子ども部屋などは、特に真夏日であっても、爽やかな風が通る工夫がなされており、志賀直哉が家族を大切にした証でもあります。


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 中庭に目を移すと、先日まで小さな花を咲かせていた柿の枝に、緑色の実が育っています。
手の届く青い柿の実を触ると、想像以上に硬く、昔話の『サルカニ合戦』を思い浮かべます。
『さるかに合戦』では、サルが青い柿の実をカニに投げつけ、カニは甲羅が割れて亡くなってしまいます。
そこから3匹の子ガニが生まれ出て、サルに復讐するというお話ですが、なるほどカニの甲羅を割るほどの硬さに納得できます。


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 旧居の庭の花と言えば、この時期はオニユリ(鬼百合)だけが満開です。
池のハス(蓮)は1ヶ月前の開花を終えて今は跡形もありません。
またスイレン(睡蓮)も、3つか4つの白い花を咲かせている具合です。

 旧居の庭の植物たちは、強い陽光を受け、地中に根を伸ばし、葉に養分を蓄えながら、
やがて8月を超え秋の季節へと準備を進めているのでしょう。

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