学校法人奈良学園

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◇2023-04-24 (月)

4月の志賀直哉旧居

  • 4月の志賀直哉旧居

 志賀直哉は生涯で23回もの引っ越しを繰り返したそうです。
それでも引越し魔と言われた夏目漱石は30回以上、志賀直哉と交流の深かった谷崎潤一郎に至っては生涯で40回以上も引っ越しを重ねていたそうです。

 歴史的な人物に目を転じると、作曲家のベートーベンは79回、浮世絵師の葛飾北斎は93回も引っ越しをしていたと言われています。
それぞれ生活感や趣味趣向、さらには生活事情が異なることから、創作活動と引っ越し回数との関係性の有無については一概に言えません。
ただ、経験値の量や見聞の質を考えると、創作する作品に何らかの形で有意義な影響をもたらしたに違いありません。

 引っ越しで言えば、関東から京都の山科に越して来た志賀直哉が、知人の勧めで奈良の幸町に移り住んだのが1925年(大正14年)4月。
その後、1929年(昭和4年)4月に高畑町に竣工したここ旧居の住まいに移り、1938年(昭和13年)4月に、息子の進学のこともあって東京に引っ越まで過ごすことになります。
奈良に移り住んだのも、高畑町の住まいを竣工したのも、そして奈良を離れて再び上京したのも、4月です。
これには何か志賀直哉として理由があったかどうかについては不明です。
きっと、草木が芽生え、花の香りの風が吹く季節の中で、自ら大きな節目を設けようとしたのかも知れません。


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 4月と言えば、ツツジ(躑躅)が陽の光に映え艶やかに旧居の庭を彩っています。
一方、中庭に咲くヒメウツギ(姫卯木)は、旧居の建物に囲まれているせいもあり、何某か控えめでいながらも純白の清らかさに目が離せません。
ヒメウツギの花言葉が「秘めた恋心」だというのも、花を見ると納得できます。
白い花と言えば、池の側にアセビ(馬酔木)の花が満開の時期を迎えています。
こちらは純白でありながら、小さな鈴の形の花の塊が葉の間から湧き出すような勢いで咲いています。
中庭の足元を見ると、薄紫の可愛らしいスミレ(菫)の花が、芝生の隙間から顔を覗かせています。気づくとまさに足の踏み場もないほど咲いています。
いよいよ旧居の庭は、花盛りの季節を迎えようとしているようです。


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