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◇2023-04-24 (月)

奈良学園公開文化講座 第60回《多世代交流拠点づくりと新たな地域力の構築に向けて》を開催しました

  • 奈良学園公開文化講座 第60回《多世代交流拠点づくりと新たな地域力の構築に向けて》を開催しました

 4月24日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第60回「多世代交流拠点づくりと新たな地域力の構築に向けて」を開催しました。講師は奈良学園大学人間教育学部准教授の岡野聡子先生です。カナダのネイバーフッドハウスの事例の紹介から、理想を語り創っていく新しい地域福祉の考え方である「増進型地域福祉」について講義をしていただきました。


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 カナダでは「場所」に焦点を当てたプレイス・ベースド・アプローチが行われています。そのアプローチとは、地域に存在する課題に対して専門家が直接対応するのではなく、地域住民が参加をし、対話を通して課題解決にあたることが特徴になっています。このアプローチの仕方により、地域住民の智慧と情熱が引き出され、意思決定に対する当事者意識を持つことにつながり、さまざまな状況下で、根拠に基づく効果的な政策決定ができるという成果を得ることができています。

 イギリスのセツルメント運動や地縁型コミュニティを発祥とする、多世代交流拠点のネイバーフッドハウスは、そこで生活をする者という考え方で対象者を限定しません。それぞれの人が持つ生活課題を仲間と共有し、共に考え解決する姿勢のもと、ボランティア主導で人と人との信頼関係を構築していく「人格的交流」の場となっています。


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 現在、カナダ全土に100以上あるネイバーフッドハウスのひとつである、コリングウッド・ネイバーフッドハウスでは、レクレーション活動をはじめ、親支援プログラムやホームレス支援、学習支援、ランチ提供プログラム、多文化共生のためのコミュニティ・ディベロップメントなど、104種類の多彩なプログラムが地域住民主導で行われています。

 ネイバーフッドハウスには、これらの多彩な活動を支援するコミュニティ・ディベロッパーという運営の責任者が置かれ、事業運営の評価を行っています。コミュニティ・ディベロッパーの役割は、オーケストラの指揮者のようなもので、コミュニティのニーズを探すのではなく、「コミュニティにいる個々人の能力を引き出す」という観点から、人材開発に力を入れています。

 このようにカナダでは、「増進型地域福祉」という、新しい福祉の考え方に基づいて、ネイバーフッドハウスが運営されています。「増進型地域福祉」とは、理想・幸福という高いレベルを目指し、問題解決型ではなく、目的実現型のアプローチを基本とし、対話とプロセスを重視し、個人と地域社会の幸せの両方を統合的に目指します。


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 講座の最後には、「理想を語る、理想を創る」増進型ワークショップが紹介されました。また、参加者の皆さんからは、カナダと日本の気質の違いにもふれられ、ご自身が住まれている地域の日本型の増進型地域福祉についても語られる場面もあり、活発な意見交換が行われました。


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 庭のツツジは満開になり、門とサロンには、ここ志賀直哉旧居で撮影が行われた奈良観光のポスターが飾られています。見学に訪れていた方々も、文豪志賀直哉に思いを馳せ、静かなひと時を楽しまれていました。

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