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◇2022-11-21 (月)

11月の志賀直哉旧居

  • 11月の志賀直哉旧居

 初めの11月7日に今年の立冬を迎えました。昼夜の長短の差が極まり、旧居の庭も午後に入ってしばらくすると、木々の影が深くなり始めるように見受けられます。 季節としては、来年の立春までを冬であるとしていますが、冷たい木枯らしに枯れ葉が舞うようになるには、まだまだ師走の時を待つ必要があるようです。

 志賀直哉は雑誌「白樺」に掲載された短編小説『小僧の神様』の中で、「それは秋らしい柔かな澄んだ陽ざしが、紺のだいぶはげ落ちた暖簾の下から静かに店先に差し込んでいる時だった」と晩秋の風状を語りながら、火鉢の傍で新聞を読んでいる若い番頭が登場しています。この小説が1月号(1920年)に掲載されたということを考えると、執筆されたのは、今日の様な秋と冬の狭間あたりではないかと思います。


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 確かに旧居の庭では、初冬を彩るサザンカ(山茶花)の花が開花をし始め、晩夏以来、色合いの乏しかった風景に華やぎを蘇らせてくれています。また、マンリョウ(万両)、センリョウ(千両)やナンテン(南天)の真っ赤な実が、年の暮れが近しい頃であることを知らせてくれています。


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 庭の赤い色彩と言えば、11月も終わりに近い頃になってやっとカエデ(楓)が艶やかな紅色に色づき始めています。奈良市内の各所や近隣の山中にあるカエデは早々と紅葉していたのですが、ここは日当たりが良好で、その暖かさ故に、旧居のカエデもやっと晩秋の風を感じ始めたのでしょうか。特に中庭のカエデの紅葉は太陽の白い光を透かして、とりわけ眩いほど紅く、訪れる方々の目を楽しませています。さらに旧居の庭ではドウダンツツジ(灯台躑躅)の紅葉も、カエデに負けず劣らず晩秋を美しく彩ってくれています。

 街中では、厳しい寒さの中で並木が葉を落とし、場所によっては緑の色合いを無くした水墨画のような風景の季節が始まりますが、旧居の庭には、また新しい色合いが楽しめる季節がやってくる兆しも芽生え始めています。

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