学校法人奈良学園

ニュース & トピックス
ニュース & トピックスニュース & トピックス

ニュース & トピックスニュース & トピックス

◇2022-11-21 (月)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《志賀直哉『流行感冒』を読む》を開催しました

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《志賀直哉『流行感冒』を読む》を開催しました

 11月21日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会「志賀直哉『流行感冒』を読む」を開催しました。講師は奈良女子大学の吉川仁子先生です。


20221121_002.jpg

20221121_003.jpg


 『流行感冒』という小説は、大正8年に『白樺』に初出した時には『流行感冒と石』という題名だったようです。その後、大正11年に『流行感冒』に改題されたそうです。改題されたものの、この小説において、女中「石」の存在が、物語の中で重要な役割を担っていたことがわかります。
 また、志賀直哉自身は長女を生後直ぐに病で失っております。この小説に登場する主人公が神経質なほど子どもたちへの感染を恐れていたという設定は、実際に起こったその悲しい体験に基づいていることを教えてもらいました。

 志賀直哉は、その後再び長男を、生まれて数ヶ月後に亡くしています。そのことについては、父親との関係性修復を描いた『和解』の中に、非常に悲しい出来事として書かれている様です。

 さて、『流行感冒』は、この小説が書かれた頃に世界的に大流行し多くの死者を出したインフルエンザ、「スペイン風邪」をモチーフとしているそうです。当時、まだウィルスの存在は知られていなく、飛沫感染を恐れてマスクの着用や患者の隔離、集会の制限などの重要性が言われていたようです。現在の状況と照らし合わすと、類似しているとお話をいただきました。

 主人公は、流行感冒の子どもへの感染を恐れていたにも関わらず、石が嘘までついて芝居を見に行ったことに対する憤りと、その後、子どもの病気に対する心を込めた奮闘ぶりが、実は同じものなのかも知れないと思い始めます。この心の変化が、物語のポイントだと教えていただきました。


20221121_004.jpg


 『流行感冒』の中で、出入りしていた植木屋から感染したことが書かれています。志賀直哉は、自らが庭の手入れをするほど庭の植木をとても大切にしていたそうです。旧居の庭は、志賀直哉の意思を受け継ぎ、常に美しい園景を来訪者に見ていただけるように、スタッフ総員で整備をしております。

▲ページトップ

Copyright (C) Naragakuen. All right reserved.