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◇2022-11-14 (月)

奈良学園公開文化講座 第56回《文学の高畑》を開催しました

  • 奈良学園公開文化講座 第56回《文学の高畑》を開催しました

 11月14日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第56回《文学の高畑》を開催しました。講師は奈良教育大学教育学部特任准教授の米田猛先生です。先生は国語教育がご専門で、その中で現在、子どもたちが国語について積極的に興味を持ってもらうための郷土教材の開発をされています。


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 本日のテーマ《文学の高畑》を考える中で、2つのキーワードを示されました。まずひとつは「ついじ(築地・築泥・築土)」です。築地とは、泥で塗り固め、瓦で屋根を葺いた塀のことで、奈良の街並みの伝統的な風情を象徴するものです。かつては、奈良には多く見られたそうですが、戦後は町の再開発が進み、めっきり少なくなったようです。先生から築地について書かれた亀井勝一郎、和辻哲郎、堀辰雄などの文学作品を紹介していただきました。さらに、会津八一や吉野秀雄、窪田空穂、川田順などの短歌で高畑の町の築地について書かれた歌を読んでいただきました。土の肌が顕になり、あるいはツタなどの植物が絡む築地の塀が並ぶかつての高畑に、多くの文人たちが文学的刺激を受けていたようです。また、高畑に長く住んでいる志賀直哉は、昭和13年に書かれた随筆『奈良』の中で、築地のある風景を「名画の残缺(ざんけつ)が美しいように美しい」と綴っています。

 もうひとつのキーワードは「新薬師寺」です。新薬師寺は旧居から500m足らずのお寺です。昭和18年に新薬師寺から右手を残して盗難された香薬師如来についてのお話や、建立当時は仏像を納めた本堂があり、現在よりも規模の大きなお寺であったことを教えていただきました。また、新薬師寺の「新」は、新しい薬師寺という意味ではなく、「霊験あらたか」の「あらた(新)」を意味するものであることも教えていただきました。


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 旧居の玄関を出て左の方を見ると、新薬師寺への道が続いています。志賀直哉や訪れた文人たちも、この道を何度も散策しながら、文学や世情についての話に花が咲いていたことに違いありません。

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