学校法人奈良学園

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◇2022-10-24 (月)

10月の志賀直哉旧居

  • 10月の志賀直哉旧居

 志賀直哉旧居の表門を出ると、そのまま北東に向かう小道があります。一般に「ささやきの小道」と呼ばれ、奈良の観光スポットのひとつとして、多くの観光客が散策を楽しんでいます。この道をかつて「下の禰宜道(しものねぎみち)」として、高畑の社家町からの神官(禰宜)が春日大社へと日々、通っていたそうです。友人と過ごす時間を大切にした志賀直哉も、近隣に住んでいた文化人や遠方から来た訪問者たちと会話を楽しみながら、春日大社までの小道の散策を楽しんだに違いありません。

 旧居からささやきの小道に入ると、直ぐに清流が流れる小川が道を横切っています。京都の鴨川など、多くの川の謂れとして昔から川の手前が現世であり、橋を渡ると別の世界、あるいは神の世界に至ると言われています。志賀直哉も、現世と別の世界を何度も行き来しながら、小説執筆のためのインスピレーションを得ていたのかも知れません。


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 旧居の庭に目を移すと、いよいよ秋も深まっている様を見ることができます。鮮やかな桃色と眩いほど真っ白なシュウメイギク(秋明菊)が咲いています。毎年、シュウメイギクの花の盛りを見ると、本格的な秋が訪れたのだと感じます。その近くで控え目に咲いているお茶の花も、深まる秋を感じさせてくれます。
 また、サツキ(皐月)の葉の上には、赤く色づいた柿の葉が散り落ちているように、旧居の庭の広葉樹の葉が、散っている様が見受けられます。ただ、モミジ(紅葉)が赤く染まるには、もうしばらく待たなければならないようです。


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 旧居の池のハス(蓮)、あるいはスイレン(睡蓮)の葉や枯れ花が取り除かれ、すっかり季節変わりの準備が整っているようです。水の底の土の中に眠る茎が、やがて氷が張る季節を乗り越え、半年後に芽生えさせるための地下茎を寒さから守るために、静かに養分を蓄えているのでしょう。

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