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◇2022-10-07 (金)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《写実画家・野田弘志 その作品と、目指す真理》を開催しました

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《写実画家・野田弘志 その作品と、目指す真理》を開催しました

 10月10日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会「写実画家・野田弘志 その作品と、目指す真理」を開催しました。講師は奈良県立美術館学芸員の深谷聡先生です。

 冒頭に奈良県立美術館と写実(リアリズム)絵画との関わりや、野田弘志の展示会に至る経緯などについて説明をいただきました。また、野田弘志が追求し続けたリアリズム絵画が、決して細密画ではないことや、美しさの追求ではなく見えたものを見えたように描く写実であることなどについて、お話しをいただきました。


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 続いて、西洋におけるリアリズム絵画の歴史について教えていただきました。描き直しの可能な油彩画や遠近法などの技法の登場により、よりリアルな空間描写が可能となり、ルネッサンス時代になると多くの写実的な作品が登場します。まるで目の前に存在しているかのような人物、実際に眺めているような風景。このようなリアリズム的絵画は、光や影、質感などの表現に工夫を凝らし、よりリアルな描写を追求していたようです。ダビンチやミケランジェロ、さらにはレンブラントなどのような作品がそれです。

 また、現実にはない情景をまるで現実にあったかのように感じさせることで、作品を鑑賞する対象者に向けての宗教的あるいは政治的プロパガンダとして利用されたそうです。


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 リアリズム絵画が衰退し、絵画の世界が変化したのは、19世紀に入って誕生した、写真が影響しているそうです。目に見える現実の世界を捉える写真、そうした現実を踏まえてリアルに描く絵画から、印象派やキュビズム、シュールレアリズム、あるいは抽象絵画など、目で認識できる具象的な事物を追求するのではない絵画が登場し始めたようです。

 一方では近年、写真を土台に超リアルな情景を描こうとする作品も紹介いただきました。そのような中で、野田弘志が、なぜリアリズム絵画にこだわったのか、何を伝えようとしたのかを、作品を通して説明いただきました。


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 志賀直哉の作品の場合は、一貫して絵空事の要素を排除し、実際に体験したことを素材として物語を綴っていくリアリズム(自然主義)的作家であると言われています。そういう視点で、作品を読んでいくと、小説の中にまた違った風景が見えるようです。




野田弘志-真理のリアリズム(特別展)
2022年9月17日(土)-11月6日(日)
奈良県立美術館

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