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◇2022-07-25 (月)

7月の志賀直哉旧居

  • 7月の志賀直哉旧居

旧居の池では、スイレン(睡蓮)に混ざり、ハス(蓮)の花が咲き始めています。
ハスは泥水の中から美しい花芽を立ち上げ咲くことから、仏教では「叡智」や「仏の救済」を象徴する神聖な花だと言われてきました。
一方では、朝に咲いた花は、昼には散りゆくことから「離れゆく愛」という悲哀を秘めた意味もあるそうです。

池を離れ、サンルームから見える庭に目を移すと、盛夏に楽しめる花が咲き始めています。
特にサルスベリ(百日紅)の木には、艶やかな紅色の花が庭を飾っています。


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またヒャクニチソウ(百日草)やグラジオラスと共に、ギボウシ(擬宝珠)の白い花が寄り添って咲いていた場所に、今は濃いオレンジ色のオニユリ(鬼百合)が満開です。
この季節になると、かつては至る所に花を咲かせていたオニユリも、今ではシラユリ(白百合)に代わり、街中ではめったに見ることができなくなっています。
オニユリと聞けば花の柄からそう思われているのか、恐ろしいイメージがありますが、大きな花を咲かせることから「誇り高いこと」や、ムカゴで繁殖することから「裕福」や「賢者」という意味があるそうです。


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またオニユリやサルスベリの花とは異なり、庭の奥に紫色のキキョウ(桔梗)が開花している様子が、地味ではありますが、風景の中で気になる存在です。
キキョウと言えば、平将門の情報を密告した桔梗という名の女スパイを、将門が惨殺し、その後、市川の町ではキキョウを植えても花が咲かないという伝説が生まれた逸話を思い出します。
またキキョウの花の形が安倍晴明の魔除けとして好んで使った五芒星を、別名「晴明桔梗印」と呼ばれ、幸運を導く花としても親しまれているようです。
こうした花の意味合いを紐解いて行くと、風水や家相的な解釈も含め、庭づくりそのものが、古来より呪術的な意味合いを秘めていたように思えます。
普段は庭づくりに興味を持っていた志賀直哉は、旧居の庭にどのような秘密を仕掛けたのだろうかと想像してしまいます。


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最近、めっきり数が少なくなったニイニイゼミが、庭の木に止まって鳴いていました。
やがてセミもツクツクボウシやヒグラシの鳴き声に代わり、夏も秋へとゆっくり移りゆくのでしょうね。

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