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◇2022-06-20 (月)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《志賀直哉の大山の一夜》を開催しました

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会《志賀直哉の大山の一夜》を開催しました

6月20日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会「志賀直哉の大山の一夜」を開催しました。
講師は建築史家で相愛大学名誉教授の呉谷充利先生です。
本日は『暗夜行路』の後半の「大山の一夜」を中心に、志賀直哉の文学を考察しました。


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 まず志賀直哉が夢の世界を描いた『イヅク川』を例に、作品における「序・破・急」のリズムが基本となっていることを教えていただきました。
「序」で事がはじまり、「破」で展開し、「急」で急速に結末を迎える手法で、雅楽や能に使われているようです。
これはあたかも「鹿(しし)おどし」が、水を徐々に溜めて、最後に突然、静寂の中で音を響かせるかのような流れだそうです。


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 また『剃刀(かみそり)』では、客の喉に剃刀をあてた時の心理や、剃刀を当てられた側の心理を、表面的な描写だけではなく、深い人間の心理の世界をリズムでとらえた作品であることが紹介されました。
さらに志賀直哉自身が父親との関係を小説化した『和解』では、人というものをどう信じるかということを含め、父と主人公の心の動きをリズムの中で表現した作品であることを教えていただきました。

 そうした志賀直哉が表現し続けてきたリズムが、やがて『暗夜行路』の後編「大山の一夜」に至るにおいては、「序・破・急」からむしろ「序・破・共」であるようです。
並行してオリゲン・ヘリゲルの著『弓と禅』を例に、「的にあてるのは私でしょうか。それとも的が私にあたるのでしょうか」という問答にも似た、風景との一体感を「大山の一夜」に示されていることを教えていただきました。


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 志賀直哉は2階の書斎で、若草山・春日山・御蓋山などを眺め、遠くに聞こえる小鳥の囀りを耳にしながら、文学史に残る名著を書き終えたのでしょうか。

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