学校法人奈良学園

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◇2022-05-23 (月)

5月の志賀直哉旧居

  • 5月の志賀直哉旧居

 志賀直哉旧居へ至る道を歩いていると、すでに真夏に近いほどの眩く暑い陽光が照りつけて来る季節となりました。

 まだまだこれからさらに季節が移ろい、暑さが厳しくなることが予想されます。
しかし来訪者の皆様が、玄関で靴を脱いで、上がり框(かまち)から板張りの旧居の廊下に踏み入れた瞬間、その空気の爽やかさに癒されることでしょう。

 旧居にはエアコンがありません。
にもかかわらず、灼熱の真夏の最中でも、開け放たれた掃き出し窓や各所に設けられた小窓から吹き込んでくるそよ風が、旧居内を常時、巡っています。

 この邸宅設計の根底にあるのは、執筆活動だけではなく、妻や子どもたちが皆、快適に過ごせるようにと強く願った志賀直哉の家族への思いやりであると言われています。

 志賀直哉は実際に家族愛に満ちた人物であったようです。
彼の日記の中で家族について「妻子を可愛がろう」「溺れないように愛しよう」などと綴られているように、夏でも過ごしやすい住環境を目指した理由が伺えます。


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 旧居の池では、水面に浮かぶスイレン(睡蓮)の葉の間から、ハス(蓮)の葉が伸び出しています。また、池の淵にはアヤメ(菖蒲)の赤紫の花が開いています。
そのまわりに、シオカラトンボが忙しく飛びまわり、生まれたてのイトトンボがぎこちなくか細い羽を震わせ、アメンボウが波紋を描きながら水面を滑るように舞っています。
やがてこの池にも、例年のようにモリアオガエルのオタマジャクシが姿を見せてくれることでしょう。


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 春のあたたかさで無数に開花しているニワゼキショウ(庭石菖)も、まもなく訪れる梅雨の季節を過ぎると姿を消し、木々の緑も濃さを増し、旧居の庭の風景も夏色に変わって行くことでしょう。

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