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◇2021-04-12 (月)

奈良学園公開文化講座第44回「志賀直哉と人格」を開催しました。

  • 奈良学園公開文化講座第44回「志賀直哉と人格」を開催しました。

4月12日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第44回「志賀直哉と人格」を開催しました。

講師は奈良学園大学名誉教授で当館館長の大原荘司先生です。 


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志賀直哉は本質を見抜く力と、動体視力を活かした観察力、ありのままの情景を表現する力を持った小説家です。
しかしそれは外界へと向かう力ではなく、むしろ自分とは何かを深く見つめる内なる探求を通して生まれてくるものでした。
29歳ごろの直哉の日記には「自分は自分にあるものを生涯かかって掘り出せばいいのだ」と書かれています。

講義では、成唯識論やエマソンの「大霊」、キリスト教における三位一体など、自己と人格をめぐるさまざまの様相が紹介されました。

直哉の作品や発言からは、無心かつ決然とこの世のありのままの実相に向き合う姿が見てとれます。


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「志賀直哉は、ありのままの実相に感動を見出し、それが人格を刺激して崇高へと向かう運動を感得していた」、「日常における感動が、宗教によらない直哉の信仰のあり方だったのではないか」との言葉で講義は結ばれました。

志賀直哉は食堂の出窓に"マスコット"として木喰佛を置いていたそうです。
この日は「春の出窓仏像展」として、大原先生が彫られた弥勒如来、南無佛太子が展示され、会場を見守っていました。


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庭園に藤が咲いていました。
藤といえば、志賀直哉『矢島柳堂』にも登場する花です。主人公で画家の矢島柳堂は庭の藤を眺めて日を過ごすうち、ツルが常に左から右へ巻き付いていることを発見し、これを確かめるため弟子に近所の藤を見に行かせます。

本日の講演で紹介されたような、人並み外れた観察力抜きには書かれえない物語。その透徹した眼差しに驚かされるばかりです。

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