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◇2021-06-21 (月)

志賀直哉旧居特別講座 2021白樺サロンの会第1回《川端康成、上方の人 --志賀直哉、谷崎潤一郎、川端康成にみる表現--》を開催

  • 志賀直哉旧居特別講座 2021白樺サロンの会第1回《川端康成、上方の人 --志賀直哉、谷崎潤一郎、川端康成にみる表現--》を開催

6月21日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会第1回「川端康成、上方の人 --志賀直哉、谷崎潤一郎、川端康成にみる表現--」を開催しました。
講師は建築史家で相愛大学名誉教授の呉谷充利先生です。


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大阪生まれ大阪育ち、その後、東京で名を成した川端康成と、関東圏内で生まれ育ち、後に関西に移り住んだ志賀直哉、それに谷崎潤一郎の作品を通して、文学表現における「すい」と「いき」について考察しました。

「すい」と「いき」は、いずれも「粋」という文字を当てていますが、その意味合いが根本的に異なっていることを教えていただきました。
清少納言の『枕草子』に見られるように、古くから内的な精神世界的視点から表現しようとする「すい」に対して、「いき」は、葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』に代表されるような、主観的な要素が強く、瞬間をとらえた美しさなどを表現する概念として使われています。
これは「すい」が上方文化的(貴族的・町人社会的)であり、「いき」が江戸文化的(武士社会的)であると言えるそうです。
さらに同じ視点で、谷崎潤一郎の『卍』『細雪』での表現を通して、その作品の特徴について先生から説明をいただきました。


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また、新感覚派として活躍した川端康成の作品、『伊豆の踊り子』の中で、踊り子が「花のように笑う...」という表現を例に、「すい」的表現の中に包含された意味の深さを教えていただきました。

川端康成は1968年にノーベル文学賞を受賞しました。
これは、彼の文学における「すい」の文学表現が、日本的な美として世界中に感銘を与えたことを意味するそうです。


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講座の行われる旧食堂には、旧居の庭に咲いている濃いオレンジ色のグラジオラスの切り花が生けられています。
いよいよ本格的な夏の訪れを教えてくれているようです。

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