学校法人奈良学園

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◇2021-06-21 (月)

6月の志賀直哉旧居

  • 6月の志賀直哉旧居

梅雨に入り、旧居の軒や庭の葉を叩く雨の音が、短調のメロディーを奏でているかのような、どこか情緒的で文学的な雰囲気を醸し出しています。
詩人、三好達治が「けりけり」と鳴くと表現したモリアオガエルが、白いスイレン(睡蓮)の咲く旧居の池から聴こえ始め、時の移ろいの切なさを奏でています。
6月に入ると、梅雨の終盤を告げるように、蓮の蕾が池から頭を持ち上げてくることでしょう。
カエルと言えば、志賀直哉が、『暗夜行路』を書き上げれば手を付けようと考えていた小説、『雨蛙』を思い起こします。
不貞を犯した妻と、それを寛容に許す男の内心を描き、寄り添う2匹の雨蛙を見た夫婦の様子の違いが印象的な物語でした。

ツツジ(躑躅)の最盛期はすでに過ぎ、旧居の庭には、五月を表す言葉となっている花、サツキ(皐月)が、この季節を待ちかねていたかのように艶やかな色合いの花弁を開き始めています。


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また足元にはニワゼキショウ(庭石菖)の小さく可憐な花が咲いています。
この花、名前を即答できる人はおそらく稀ではありますが、今くらいの季節になると、芝生の合間など至る所に群生して咲いているのを見ることができます。
花言葉は「繁栄」や「豊かな感情」です。
規模の大きさや派手な見栄えではなく、こうして足元で美しく咲くことこそが、本当の繁栄なのだと告げているかのようです。


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雨が通り過ぎると、旧居のサンルームにも夏の陽光が差し込む季節がやってきます。
奈良を巡る旅人も、厳しい真夏日に旧居内を通り過ぎる自然の風の爽やかさにきっと驚くはずです。
志賀直哉も、この風を感じながら、多くの作品を執筆し続けたのでしょう。


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