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◇2021-06-26 (土)

奈良学園公開文化講座第46回《「興福寺阿修羅像」の探求》を開催しました。

  • 奈良学園公開文化講座第46回《「興福寺阿修羅像」の探求》を開催しました。

6月26日(土)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第46回《「興福寺阿修羅像」の探求》を開催しました。

講師は奈良学園登美ヶ丘中学校高等学校教員の上野久美子先生です。 


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古来から現代まで人々の心を惹きつけてやまない興福寺阿修羅像。三面六臂の不思議な姿や華奢な体躯、人間的な顔立ち、憂いをたたえたまなざしが魅力です。

上野先生の講義は阿修羅の起源をたどるところから始まりました。紀元前12世紀頃に成立した古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』には、すでに神族の名として「アスラ」が登場します。もうひとつの神族デーヴァと対する中でアスラの恐ろしい面が強調され、悪神として定着。やがてヒンドゥー教を通じて仏教へと取り込まれ、憤怒や闘争などのイメージとともに仏法の守護神として信仰されるようになりました。


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阿修羅像自体は中国、そして日本の各地に現存しています。しかし仏像の定型表現を外れ、人間そのものの顔立ちを備えた像は、興福寺阿修羅像のほかにおいて存在しません。なぜ、興福寺阿修羅像は唯一無二の個性を獲得したのか? 講義の後半では、阿修羅像のモデルと目される歴史上の人物や三面それぞれの意味について複数の説をご紹介いただき、静謐なまなざしに込められた思いについて検証しました。

最後に上野先生は「私は迷うことがあると興福寺の阿修羅像に会いにいきます。華奢な体に降り積もる時間を感じ、真摯なまなざしと対峙することで、大きな時の流れの中にある自分の人生の意味を考えられるからです。興福寺阿修羅像は、見上げる仏像ではなく、まっすぐに等身大で見つめられる仏像なのだと思います」と述べられました。


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庭園の池にハスが咲いていました。泥水から清廉な花を咲かせるために、仏教でも象徴的な意味を持つ花です。
池には水生植物のほかに、トンボやモリアオガエルなどさまざまな動物が暮らしています。ご来館の際はぜひのぞいてみてください。

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