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◇2021-01-28 (木)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会第4回「興福寺北円堂「無着像」--奈良の美と日本文化--」を開催しました。

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会第4回「興福寺北円堂「無着像」--奈良の美と日本文化--」を開催しました。

1月18日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会第4回「興福寺北円堂「無着像」--奈良の美と日本文化--」を開催しました。


講師は建築史家で相愛大学名誉教授の呉谷充利先生です。


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彫像でのリアルな人物表現について、西欧では19世紀のリアリズムを待たなければならなかったのですが、日本では13世紀の鎌倉時代に、すでに運慶・快慶によって制作されており、その典型的な作品として運慶による興福寺北円堂『無着像』があるというお話がありました。


無着像は、伝説の登場人物として現実に存在していたわけではなく運慶の想像の中で見事に生きる人間像として彫られています。これは肉体と精神という二元論的な存在としてではなく、肉体や精神、感情などをすべて持つ人間そのものとして受け止め、表現されているのだと説明がありました。


西欧のリアリズムは社会的目線を重視しているのに対して、無着像から受ける印象は、彫られた人物の内面から湧き出すような精神的な目線を重視している、とのことでした。


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西欧では、神は天におわし、救いの対象として原罪を持つ人間を客体的に見ている構造ですが、日本では古来より磐座(いわくら)を御神体として祀るように、日常の中に神性を感じていました。こうした日本独自ともいえる捉え方を、もっと世界に発信していくべきであるとお話がありました。


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北庭の池の縁に、真っ赤な実の美しいマンリョウが、大木に寄り添うように顔を覗かせていました。「万両」と表記され、財運を招く縁起の良いマンリョウはお正月に門松と共に飾られます。また、実の赤は人々にあたたかさとエネルギーを与えると言われています。華やかな花が見えなくなる真冬に、志賀直哉もマンリョウの赤い色から、創作意欲を感じ取っていたのでしょうか。

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