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◇2020-10-29 (木)

奈良学園公開文化講座第39回「AIは人間を凌駕するか-人間とは何か」を開催しました。

  • 奈良学園公開文化講座第39回「AIは人間を凌駕するか-人間とは何か」を開催しました。

10月26日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第38回「AIは人間を凌駕するか-人間とは何か」を開催しました。
講師は奈良大学名誉教授・京都教育大学名誉教授の吉村文男先生です。


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最初に、この議論の大前提として、「私たち人間は意味の世界に生きている」という認識を持つことが必要であること。一方、コンピュータプログラムであるAIは、蓄積されたデータに基づいて数値的演算を踏まえた判断をすることをお話しいただきました。


その例として、一枚の抽象画が示され、大人と子どもがそれをどう理解したかを考察するにあたり、それぞれの受け取った意味から生じる判断の違いについて説明がありました。
このように、人間はあらゆる現象(森羅万象)に意味づけをし、例え意味がない、もしくは理解出来ない事に対しても「それは意味が不明である」という意味を与えるようです。
このように、事象に対する理解の方法論が、人間とまったく違うアプローチを持つAIが、レイ・カーツワイルの言うように「シンギュラリティ(技術的特異点)2045年に到達し、AIが人間の知力を凌駕する」ようになるのであろかという問いかけに立ち返って考察しました。


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講座の最後に暫定的結論として、『AI原論』(西垣通)からの引用文を踏まえ、AIはあくまでも数字的処理をすることによって答えを導き出す機械であるが、人間は「私が〜」といった主体的主観を基盤にすべての認識を行うものであるという理解を共有しました。
つまり知的活動において全く比較が出来ないものを比較することは不可能であるし、何を以て凌駕するのかが不明であり、人間とAIの知的機能の優位性を比較することすら無意味であるとお話されました。
加えて、人間の持つ知的活動は、仏教的な概念で言うと「叡智」であると教えていただきました。


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旧居の中庭には、真っ白な茶の花が咲いています。一つ摘んだ茶の葉を白湯に浮かべ、ほんの僅かな香りを志賀直哉も楽しんだのでしょうか。こうした安らぎの時間に意味を持つ私たち人間の習慣を、AIはいつ心から理解出来るようになるのでしょうか。

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