◇2019-08-30 (金)
8月26日(月)、セミナーハウス・志賀直哉旧居にて「近代文学講座 ―文学表現の諸相― (前期5回目)」を開催しました。講師は京大以文会会員の植村正純先生です。
今回は、ミハイル・ショーロホフの『人間の運命』についてお話をいただきました。
ショーロホフはロシア帝国から、第二次世界大戦、そしてロシア革命を通してソビエト連邦が建国された時代を生きてきた作家です。彼は、ドンの地方に生涯定住し、作家活動を行ないました。
そうした背景からトルストイなどの伝統的なロシア文学を受け継ぎながらも、コサックのアイデンティティを大切にしてきました。
ショーロホフ後期の作品である『人間の運命』は、彼自身が目撃し体験してきた戦争の虚しさや悲惨さを、戦争で何もかも失った主人公を通して描かれています。