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◇2019-08-23 (金)

志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会第4回「志賀直哉と動物」を開催

  • 志賀直哉旧居特別講座 白樺サロンの会第4回「志賀直哉と動物」を開催

8月19日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、特別講座白樺サロンの会第4回「志賀直哉と動物」を開催しました。
講師は奈良女子大学准教授の吉川仁子先生です。


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講座でお話いただいた志賀直哉の短編小説『犬』が執筆された時期、つまり彼が奈良の地に居を構えていた頃のエピソードを、当時の写真を見ながら紹介していただきました。また奈良の地図で、小説に登場する場所や行動範囲などについても確認しました。


高畑町のここ旧居には、当時、武者小路実篤や小林秀雄、尾崎一雄、小林多喜二などに加え、奈良で活躍していた画家や僧侶など、当時の文化を生み出した人々が盛んに集っていたそうです。


続いて、本日のテーマとして取り上げていただいた短編小説『犬』に登場する志賀直哉の飼い犬「米(よね)」については、盟友であった谷崎潤一郎と一緒に神戸で買った犬であることが紹介されました。

 

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志賀直哉は、この地で生涯の名作『暗夜行路』を執筆しましたが、当時の世情は、プロレタリア文学が台頭し、志賀直哉のような白樺派を代表する私小説は、あまりもてはやされませんでした。そうしたこともあり、奈良に住まう時代は、比較的、暇を持て余す日々を送っていたようです。


また志賀直哉は、「今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名画の残欠が美しい」と言葉を残しています。しかし、奈良のことは好きではあるが、人に関しては東京人の方が性に合っているといった発言も紹介されました。


『犬』は、実際に志賀直哉の日常で起こった出来事を綴った私小説ですが、その中で頻繁に使われる「不機嫌」「不快」など、感情を表す表現については、志賀直哉の多くの小説で多用されていることを教えていただきました。


また、志賀直哉が動物を扱った作品、『城の崎にて』『蜻蛉』『クマ』『雪の遠足』『虫と鳥』『山鳩』なども紹介していただきました。

 

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旧居の中庭では、真夏の陽光の下で、華やかなサルスベリの花が満開の時期を迎えています。本日のテーマと同じくこの名称には動物「猿」が登場します。サルスベリ(猿滑り)、つまり、特有のつるつるとした木肌に登ろうとした猿が、滑って落ちるという意味で命名されたそうです。ただ、実際には猿は簡単にサルスベリの木に登るそうです。

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