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◇2018-10-01 (月)

奈良学園公開文化講座第23回《志賀直哉と仏像と仏教と》を開催

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奈良市高畑町にある奈良学園セミナーハウス志賀直哉旧居において、9月29日(土)、第23回目となる奈良学園公開文化講座を開催しました。


今回は、平成30年度後期の公開文化講座の初回になることから、大原荘司奈良学園セミナーハウス志賀直哉旧居館長・奈良学園大学客員教授が講師となり「志賀直哉と仏像と仏教と」という題で講義を行いました。


『日本人には宗教はあるが信仰はない』とよく言われます。しかし、文学者だった志賀直哉は、『信仰はあるが宗教はない』と評価されています。今回は、志賀直哉の著書「座右宝」に載せられた仏像や作品に出てくる仏像などを通して、仏像と仏像彫刻、そして志賀直哉を題材に仏教についてまで考える講座となりました。


はじめに、会場となったガラス張りのサンルームと食堂間の仕切りに設けられた棚の上に飾られた大原館長が自らの手で造った仏像彫刻を紹介。その後の講義でも、志賀直哉が取り上げた仏像の中で、飾られている仏像の写真が登場すると、時には、参加者の手に大原館長が造った仏像を渡すなどして解説を行いました。


講義は、志賀直哉の作品はもちろん、色々な随筆や小林多喜二などに送った書簡などに書かれた文章を参考にして、それらに登場する仏像を中心に、奈良の名刹などにある多様な仏像などの写真を豊富に使用して解説。その仏像が意味しているものや、美しさや魅力などは、どういったところから生じているのかを説明しました。さすがに35年に渡って自ら仏像彫刻を作成してきた大原館長だけに、意外な視点からの解説も多く、参加者も感心されていたようでした。


最後に、志賀直哉の宗教観についての分析を行い、「志賀直哉にとっての仏像は、古美術品であって礼拝の対象ではなかった」と結論付けました。そして、そう考えるのは、志賀直哉が禅宗の修業をしながらも、『信仰はあるが宗教はない』人だったからだと分析。さらに、そうした宗教観を持ったのは、自己に探究を求めた結果ではないかと推測しました。


さまざまな仏像を通して志賀直哉の考える「仏教」までを紹介しました。そして、大原館長は「志賀直哉は、頭で考えるのでなく、講堂で感じる人だった」と話されました。参加者の一人、奈良市在住の女性(60代)は「初参加ですが、多くの貴重な仏像の写真が見られて良かったです」と笑顔で話されました。


翌日には台風24号が近畿地方に上陸する可能性があり、その影響から、1日中、雨模様の生憎の天候でしたが、庭には秋になったことを告げるようにピンク色の芙蓉の花が、中庭の隅に可憐に咲いていました。

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