◇2018-07-16 (月)
7月16日(月)、特別講座 第3回白樺サロンの会「志賀直哉が夏目漱石から引き継いだもの」を開催しました。講師は奈良工業高等専門学校教授であり、夏目漱石の研究で知られる武田充啓先生です。
今回のテーマは、志賀直哉と夏目漱石という二人の作家の「自己」に対する意識を通して、前者が年長の後者から引き継いだものについて考えることでした。
夏目漱石が自分の自我を主張するのであれば、他人の自我も認めるべきだと考えたのに対し、志賀直哉は他人を押しのけてでも自分の自我を通したと話されました。
夏目漱石の「こころ」と、志賀直哉の「佐々木の場合」という二作を比較して、共通点や相違点について解説されました。どちらも人としての道義的責任感を取り上げた作品ですが、ストーリー以外に、小説の構成や手法に注目して読んでも面白い作品です。参加者の方々はメモを取りながら、真剣に耳を傾けていました。
「実際に二人の間には、どの程度の交流がありましたか?」「当時の東京帝国大学の難しさは?」「志賀直哉さんの子孫はどうされていますか?」など受講者から質問がありました。
強い日差しを浴びて、庭の木々が鮮やかな色に輝いていました。
明るいオレンジ色をしたオニユリの花に、目を留めた人もいたのではないでしょうか。次回もぜひ、お越しください。