◇2017-12-20 (水)
現在、志賀直哉旧居を囲む土塀の修復工事が進んでいます。
平成21年の修復工事では、居宅内の当時の記念写真が多く残されていたため、それに基づいて修復を進めることができました。
ところが、土塀に関しては外観だけでは修復方法の判断がつかないため、崩れた場所の素材や構造についての検証からはじまめなければなりませんでいた。
一口に「土塀」といっても、古いお寺にあるような土の中に瓦を挟み込んだ土塀や、竹を編み込んだ土塀などさまざまな種類があります。今回の修復工事は、構造や手法などから当時の再現を可能な限り試みる本格的な修復工事になっています。
現在の土塀は、壁全体が内側に倒れ込んでいる部分があります。
倒れ込んでいる部分を、真っ直ぐに起こし崩れた土塀の土を補充していかなければばりません。もちろん、一気に起こしてしまうと、ひび割れたり反対側に倒れ込んだりするおそれがあります。バランスを保ちながら、注意深く修復を進めていかなければなりません。
志賀直哉は昭和4年に高畑(たかばたけ)の地に自らの設計による居宅を建てました。(志賀直哉旧居について)
この土塀は、その当時から約90年間近く邸を囲み守り続けていました。
土塀の修復は、形を整えるところまで、しばらく時間がかかりそうです。
傾きを治し、外壁面を白く塗り、最後に土塀瓦を上に乗せる作業が残っています。