◇2017-11-10 (金)
11月10日(金)、セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、第16回目の奈良学園公開文化講座「祭祀の変遷と神社」を開講しました。講師は渡邉規矩郎奈良学園大学人間教育学部教授です。
まず、一般的にキリスト教等で言う「神(GOD)」の概念と、神道で言う「神」の概念とは、まったく違うことが説明されました。
古くは神道の場合、神とは自然に対する畏敬と感謝を象徴するものとしてとらえられ、太陽や山河、巨石、巨木、森、滝等、自然のありとあらゆる事物に神が宿っていると考えられていました。
時代が下ると、鏡や玉、あるいは神像といった象徴的なものに神が宿り、それを祭祀するようになっていったそうです。そういったものは、神に代わって祭られる「代(やしろ)」として設けられました。
やがてさらに時代が下ると、天皇の祖先や力のある実在した具体的な人物が神と同一視されるようになり、現代の神社へと変遷して来たそうです。
また、祭り方も、自然崇拝として神を崇め奉った時代には、神の宿る山奥の岩屋まで参拝者が出向く方式から、やがて平坦な生活領域に祭場を設けたり、拝殿を作ったりするようになりました。祭祀の場が山から里に降りて来た、つまり神の在わすところへ「詣でる」とう形から、神の方から人の住む平地に「やってくる」という形になっていったそうです。
神の食事である神饌(しんせん)も、時代と共に簡略化されたことを鑑みれば、祭祀も時代が下れば、いわゆる横着になっていったと言えるようです。
こうした祭祀の変遷について、スライドで各地の神社や岩倉などを巡りながらわかりやすい講座となりました。
志賀直哉旧居のお庭では、秋の深まりと共に、古来より日本人には馴染みの山茶花が一つ二つと咲き始めています。やがて寒さの厳しさが増すと、満開を迎えることでしょう。
次回の12月2日は「こころの健康とストレス」をテーマに開講予定です。