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◇2017-10-30 (月)

近代文学講座 《文学表現の諸相》後期第1回を開催

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10月30日(月)、セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、「近代文学講座―文学表現の諸相―(後期1回目)を、植村正純先生(京大以文会会員)を講師に開講しました。
今回の内容は、松本清張の短編小説『運慶』です。


まず植村先生から予備知識としての運慶の系図について説明がありました。系図は小説の登場人物の背景や関係性を知る上でとても重要な情報です。
また、作家の松本清張についての説明もありました。
松本清張と言えば推理作家として著名ですが、「動機の作家」とも言われています。彼の小説は事件の謎を解くのではなく、なぜそれが起こったのか、その動機に着目し、それを深く掘り下げながら物語が展開しています。
この「運慶」も、推理小説ではありませんが、主人公である運慶の生涯におけるいくつかの動機を基軸に描かれていることに着目してほしいとお話がありました。
そうした前提に基いて、小説「運慶」に登場する運慶の人生の中の動機となるさまざまなエピソードを、参加者と読み解いて行きました。


「運慶」の中に描かれた人間運慶像を語る時に見えてくるのは、芸術家が受けるべき宿命についてです。
既存の価値観を変えていくことで新しさやそれに伴う流行を生み出していくのですが、やがてはさらに新しい価値観が登場し、やがて自分自身も過去に追いやられてしまう性を背負っている事実です。
実際に運慶の創作活動は、反逆的な精神から始まったわけですが、結局は優しさや幅の広さを持った快慶に嫉妬すら感じるようになったのです。
中島敦は『山月記』の中で「我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」と語っていますが、まさに運慶の心理的苦しみと同じものであると言えます。


ところで志賀直哉旧居の二階の和室の窓には、たくさんのまだ色鮮やかな干し柿が吊るされています。私たちが古い記憶の中で忘れ去られようとしている、日本独特の懐かしい生活の原風景です。
志賀直哉もおそらく、この時期に吊られた干し柿を眺めながら、冬へと季節が移り変わる様を眺めていたことでしょう。


次回は11月27日(月)10時から11時30分です。
後期第2回目は、梓澤要の「荒仏師・運慶」を読み解いていきます。

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