学校法人奈良学園

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◇2017-10-23 (月)

特別講座2017白樺サロンの会第6回《幻の画家 不染鉄(ふせんてつ)》を開催

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学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において、10月23日(月)、特別講座「白樺サロンの会」を開催しました。


今年度第6回目となる今回のテーマは、『幻の画家 不染鉄』で、講師は、奈良県立美術館指導学芸員の松川綾子先生です。


東京都の小石川で住職の子として生まれた日本画家・不染鉄は、大正大学と日本美術院研究所を経て京都市立絵画専門学校に入学。在学中に帝展で初入選を果たすなど華々しい活躍を見せますが、戦後は画壇から離れ、奈良で独自の絵画世界を生み出しました。


その不染鉄が、今年、没後40周年を迎えます。しかし、その作品は、ほとんど美術館に所蔵されていないことから、あまり展示会なども開かれないため『幻の画家』と呼ばれています。奈良とも縁が深く、白樺派の影響も受けている、この作家の展示会を21年ぶりに奈良県立美術館で開催していることから、今回、テーマとして取り上げました。


講座では、展示会において不染鉄のデビューから晩年まで時代を追う形で、約180点にも上る作品を『郷愁の家』『憧憬の散水』『聖なる塔・富士』『孤高の海』『回想の風景』と名付けた5つのテーマ別に展示。講義は、それを受けて、初期の作品から晩年のものまで代表的な作品をスライドで上映しながら、その人柄や作品についての解説を行っていただきました。


不染鉄は、東京の小さな寺で生まれ育ったという複雑な環境の中で、自分が生涯をかけるものとして絵画に出会いました。そして、白樺派などの社会の動きや、その時代に流行っていた画家や画風に影響を受けながらも、後年、迫力がありながらも精密で繊細な画風につながる自分の画風を模索していったのです。


伝統的な日本画の技法を踏襲しながらも、西洋画の技法を取り入れるなどして完成させたその画風。生涯に渡って描き続けた家をはじめ、新婚時代を過ごした伊豆大島の思い出に基づいた作品やその美しさに感動した富士など、奈良や東京など放浪の旅を続けながら描いた数々の作品。


また、奈良の旧制中学で校長・理事長となって、人生の後半を過ごした薬師寺東塔に代表される奈良を描いた作品の数々を見ながら、その画風の変遷を紹介。そして、画風の変化から、当時の不染鉄の心情なども推し量った分かりやすい解説に、出席した方たちは、スライドや配られた展示会のパンフレットなどを、食い入るように見入っていました。


短い時間内に、駆け足でその生涯や人柄を紹介していただいた不染鉄。その展示会は、奈良県立美術館において、11月5日(日)までやっていますので、興味を持たれた方は、是非、足を運んでいただければと思います。


台風21号がもたらした北風の影響もあってか、旧居の庭のドウダンツツジは、秋の深まりを告げるように、葉には赤いものが多く混じっていました。

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