◇2017-09-30 (土)
9月30日(土)、大原荘司志賀直哉旧居館長(奈良学園大学客員教授)による第13回文化講座が開催された。
福島第一原子力発電所事故により漏れ出た放射能の拡散の実態について6年間調査した結果の紹介である。
放射能拡散調査には放射能吸着性の高いコケを採取にその放射能を分析することが最適であると考え、福島県と宮城県の太平洋側を含む広範囲(総行程2000km)で、エゾスナゴケ、コバノエゾシノブゴケ、ツボゴケなど150点以上のコケを採取分析した。そのデータをもとにCs-137の拡散マップを作成し拡散経路などを推論した内容を紹介した。あわせて問題の本質を見極めるために、人類と核との遭遇の歴史や沸騰水型原子炉の構造や安全機構についても話題にした。
受講者とも活発な議論があり、原発の持つ諸課題についての認識の共有が行われた。
参考論文:大原荘司,向井厚志,藤原昇「コケ分析により得られた放射能拡散状況」環境技術,Vol.44,No.8,2015年