◇2017-09-26 (火)
9月25日(月)、セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、「近代文学講座―文学表現の諸相―(前期5回目・草枕」を開講しました。
京大以文会会員の植村正純先生を講師に、近代文学を学ぶ講座です。
今回は前期の締めくくりでした。
作家が自己の内的衝迫を、モティーフや表現方法など、さまざまな形で文学に表出した「表現の諸相」をたどるこの講座。
「古今・東西の文学の接点」「奈良を描く」「モティーフ、表現をたどる」の各テーマに合わせた作家・作品例を選び、読み解きます。前回に続き、夏目漱石の『草枕』を取り上げました。
『草枕』は漱石が11年という長くはない作家生活の初期に発表した作品です。
智や情といった俗念がからむ世を住みづらいと感じる主人公の画家が、人情を超越した「非人情」の世界を求めて旅に出ます。
出会う人物や目にする光景など、特徴的な場面を取り上げて、植村先生が解説されました。主人公が求めた「非人情」の境地にどのように達していくのか、理解を深めていただけたと思います。
また、漱石の文学全体を通して流れるテーマ「慰藉(いしゃ)」への思いも感じていただけたのではないでしょうか。
建物は言うまでもなく、庭の風情にも定評がある当邸。
今は金木犀の甘くやさしい香りに包まれています。
たわわに実った柿や色づきはじめた紅葉に、目を細める方もいらっしゃると思います。
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10月30日(月)から後期、全5回の講座がスタートします。
松本清張の『運慶』やベルンハルト・シュリンクの『朗読者』といった東西の名作を通して、引き続き文学表現の諸相を探ります。
前期から受講されている方はもちろん、初めての方も受講が可能です。
志賀直哉旧居までお問い合わせください。