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◇2017-08-28 (月)

近代文学講座 《文学表現の諸相》前期第4回を開催

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8月25日(月)、「志賀直哉旧居2017年年度近代文学講座―文学表現の諸相―」の前期の4回目を開催しました。内容は、夏目漱石の『草枕』です。講師はお馴染みの、植村正純先生(京大以文会会員)です。


今年のテーマは、「近代文学における文学表現の諸相」です。植村先生は「作家は、社会や人生における事故の内面的衛迫を、それぞれのスタイルで文学に表出する。その作品の特徴は、モチーフ、テーマ、創作過程、表現など、種々相を通して示される」と話しました。そして、これまでに、「現代作家と古典文学」をテーマに、竹西寛子の『詩華断章』や田辺聖子の『文車日記』、日本文学と海外文学をテーマに、堀辰雄の『風立ちぬ』とヴァレリーの『海辺の墓地』、志賀直哉の『クローディアスの日記』とシェイクスピアの『ハムレット』を比較しました。


今回は「モチーフ、表現をたどる」をテーマに、なぜそのような作品を書いたのかといった動機や表現などを考えようと、夏目漱石の『草枕』を読み始めました。物語は、青年画家が住みにくい人の世に飽きて非人情の旅に出て、見える景物を一幅の絵として眺めたりしていく内容です。まだ読み始めたばかりで、次回がいよいよ面白さの真ん中へと読み進めていきます。


また、講座の最初に、夏目漱石についての解説が行われました。漱石の執筆活動は、明治38年から大正5年までの約11年間。時代が個人主義になり孤独や不安、我執といいたアイデンティティを模索するようになり、日本の文明開化、近代化による時代のひずみに対する洞察や批判を行っていたという。その時代において、人生体験から、「自己本位」から「則天去私」への文学理念となり、苦しい実生活の心境や境地をそのまま表現するよりも、浮世離れのような楽しさを感じられる作品を執筆していた点に注目し、その表現を楽しむというものです。


なお、昨年度は、同じく夏目漱石の作品、若者のアイデンティティであり青春物語の『三四郎』、熟年のアイデンティティであり「即天去私」指向の時期の『道草』を楽しみました。


今、志賀直哉旧居の庭には、無患子(むくろじ)の実が成り始めました。海外では、「ソープナッツ」(シャボンの実)とも呼ばれています。実の皮をめくり、こすると泡立ちます。実が黒色に変化して固くなると、昔は追羽根の玉の部分に使われていました。とても不思議で楽しくなる実です。庭に実が落ちると、サンルームに置いておりますので、ご自由にお持ち帰りください。

次回は9月25日(月)10時から11時30分です。
後期は10月から始まります。後期は「奈良を描く」をテーマに、谷崎潤一郎の『吉野葛』、松本清張の『運慶』などを読んでいきます。


お問い合わせは、学校法人奈良学園(℡0742-93-5100)まで。

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