◇2017-07-17 (月)
学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において、特別講座「白樺サロンの会」を開催しました。今年度第3回目となる今回のテーマは、『日本洋画の揺藍期から西日本を中心に』。講師は、美術史家の平瀬礼太先生です。
油絵のはじまりと言われる明治時代は洋画用のキャンパスはなく、絹に書いていたそうです。現在のような麻布のキャンパスは、後に戦争の図面の測量の代わりとして使われ始めたのが日本では最初でした。当時は写真がまだ普及していなかったので、油絵は戦場における当時の状況を記録するメディアとしても活用されました。
やがて油絵は旧来の描画法や美術的な感性と融合し、独自の道を歩むことになったプロセスを知りました。
例えば、「日本洋画壇の双璧」と謳われた梅原龍三郎や安井曾太郎は、渡欧を通して油絵を日本独自の美術として確立させ、その後の日本美術界における油絵に多大な影響を及ぼしたことなどもご説明いただきました。
また、日本における油絵発展の中で培ってきた当時の最先端の技法や特徴、地域文化と連動した油絵の特性などについても学びました。
夏の盛りとなり、セミの鳴き声などを遠くに聴きながらの講座でしたが、志賀直哉旧居には爽やかな風が通り、古い日本の住居の過ごしやすさを感じる中での講座でした。
次回、第4回の白樺講座<8月21日(月)>は、午前10時から『森鴎外と奈良...森鴎外「奈良五十首」をめぐって』をテーマに開講いたします。