◇2017-03-20 (月)
本学のセミナーハウス・志賀直哉旧居において、連続講座「古典講座」を開催しています。講師には元奈良学園高校教諭・吉村治彦先生をお迎えしています。
第4回目となる今回は、百人一首の歌を人生との関わりにおいて講義。歌人の人生を重ね合わせながら、歌に詠まれた孤独や無常観などを味わいました。
先生がまず取り上げたのは前大僧正行尊の歌です。「もろともにあはれと思へ 山桜 花より外に知る人もなし」 かつて大峯山で厳しい修行を積んだ行尊。孤独に耐えて修行する自分が、ひっそりと咲く山桜に共感し合ったことを歌っています。
また政争に巻き込まれて不幸な生涯を終えた鎌倉右大臣の歌「世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の縄手かなしも」や、遂に日本に帰国することが叶わなかった阿倍仲麻呂の歌「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」などを取り上げ、歌人の人生について解説しました。
さらに「百人一首ゆかりの地をめぐる文学散歩」のマップも配布。吉村先生おすすめの京都・嵐山を回るコースに、皆さん方も関心を寄せていました。
吉村先生の最後となる今回の講義には多くの受講生の方が参加。最後に吉村先生から挨拶があり、受講生の皆さんから花束が贈られました。「日に日に受講生が増え、みんな先生の講義をとても楽しみにしていました。今までありがとうございました」と受講生代表の方から感謝の言葉が贈られ、皆さんも温かな拍手で労いました。
春分の日らしく、うららかな陽射しに包まれたこの日、旧居の庭では馬酔木がたくさんの花をつけていました。