◇2016-11-14 (月)
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居では、「古典」をテーマとした連続講座を実施しています。今期のテーマは、前期に引き続き「小倉百人一首」。元奈良学園高校教諭・吉村治彦先生を講師にお迎えしています。
本講座では、各回1つのテーマに沿って、百人一首のなかから歌が選ばれ、解説されます。今回は、「これぞ名歌! 匠たちの技巧に"酔いしれる歌"」をテーマに、六歌仙や三十六歌仙にも選ばれた名歌が取り上げられました。「歌仙」とは、とくに優れた歌の名士。もともとは「歌(うた)の仙(ひじり)」と呼ばれました。六歌仙は、紀貫之によって選ばれた6人の歌人、三十六歌仙は、藤原公任によって選ばれた36人の歌人のことです。
「天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ」(僧正遍照)
「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」(山部赤人)
取り上げられたのは、いずれもよく知られた歌ばかり。先生が、順を追って紹介されると、受講者の皆さまも合わせて声に出して読み上げられる様子もありました。また、講座では、読み手にまつわるさまざまなエピソードも紹介されます。たいへん美男子だったといわれる僧正遍照と小野小町の恋物語、正岡子規に酷評された凡河内躬恒の歌など...。そうしたお話から歌人の人となりを垣間見ることで、百人一首の世界がより身近に感じられます。
木々や赤や黄色に色づきはじめ、旧居の庭もまるで絵のようです。庭の柿の木から取れた実から作った干し柿が、受講生の皆さまへ振舞われました。