◇2016-11-04 （金）
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で、本学教員による「奈良学園公開文化講座」を開催しました。第6回目の今回は元テレビプロデューサー・社団法人放送人の会理事で、奈良学園大学客員教授の山田尚先生が「小津安二郎監督と映画」と題して講義を実施。今もなお世界中で高い評価を得ている小津映画の魅力について語りました。
戦地で「暗夜行路」を読み、非常に感銘を受けたという小津監督。以来志賀直哉は最も尊敬する作家で、白樺派の作家たちとも交流があったといいます。山田教授は小津映画の特徴を黒澤監督と比較しながらわかりやすく解説。特に映像技法においては静止した構図が有名ですが、それは画面というフレームの中の人間を見せることに徹したため。作為的なことはせず、観る人に自由に感じ取ってもらうことを重視した小津監督のこだわりがあると指摘しました。
一方映像のセオリーを無視した人物の撮り方やカットつなぎなど、一見単調でありながら既成概念にとらわれない小津映画の奥深さや魅力を解説。2012年のイギリス王立映画協会のアンケートで「東京物語」が1位に選ばれるなど、ヨーロッパを中心に高い評価を受けている要因についても語りました。
講義の後半ではこうしたポイントをふまえて映像を鑑賞。奈良にゆかりのある「麦秋」や「晩春」などの名場面を取り上げ、山田教授が解説を行いました。参加者の皆さんは熱心に見入り、小津映画の魅力を再認識した様子でした。
ツワブキの花が満開です。たくさんの黄色い花が、深まる秋の庭に暖かみを添えていました。
志賀直哉旧居HP http://www.naragakuen.jp/sgnoy/
