◇2016-11-01 (火)
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居では、特別講座「白樺サロン」を開催しています。今期第6回目となる今回のテーマは、「深遠なる中世の美と知られざる奈良の中世遺産」。講師には、奈良県立美術館・学芸係長の稲畑ルミ子先生をお迎えしました。
本年2016年は禅宗のうち、臨済宗を開いた臨済義玄禅師の1150回忌にあたる年。京都国立博物館をはじめ、各地で禅に関する展覧会が開催されています。奈良県立博物館でも、「雪舟・世阿弥・珠光... 中世の美と伝統の広がり」と題した禅関連企画展が開催されており、本講座はそれに関連した講座です。
企画展は、水墨画、茶の湯、そして能の3部門で構成されています。講座では、それぞれの分野の見どころなどが解説されました。とくに、稲垣先生は絵画を担当されておられ、水墨画の楽しみ方をていねいに解説してくださいました。そのポイントは、絵を鑑賞するとともに、「賛」を理解すること。七言絶句で詠まれた風景を想像しつつ、絵を鑑賞することで、より深くその世界観を感じることができました。
古代、あるいはそれ以前の文化が残る地として知られる奈良ですが、中世以降の文化にも多く触れられる地であることがよくわかる講義でした。企画展の会期は11月27まで。また現在、奈良国立博物館では正倉院展も開催中です。時代の異なる美術に触れるいい機会なのではないでしょうか。
秋が日に日に深まっています。旧居の庭では、ヤマホトトギスがたくさんの花を咲かせています。